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モーツァルト : ピアノ・ソナタ 第18(17)番 第2楽章 K.576

Mozart, Wolfgang Amadeus : Sonate für Klavier Nr.17 Mov.2 Adagio

作品概要

楽曲ID: 30523
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:4分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

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楽譜情報:9件
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解説 (2)

解説 : 岡田 安樹浩 (266 文字)

更新日:2019年3月5日
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第2楽章 イ長調 4分の3拍子

楽章全体を通して、3声部を基本としている。当時、モーツァルトがバロック音楽へ深く傾倒していたことを鑑みれば、これはトリオ・ソナタ風といえるかもしれない。

旋回音型による装飾をもったイ長調の主題と、平行短調の嬰ヘ短調におけるイ音による装飾を特徴とした部分(第17小節~)からなり、32分音符のパッセージによる即興的な部分(第24小節~)をもつ。ふたたび嬰ヘ短調の主題があらわれ(第32小節~)、即興的な推移部を経て冒頭主題が回帰する(第44小節~)。最後に短調主題が主調のイ長調へ移旋された形であらわれる。

執筆者: 岡田 安樹浩

演奏のヒント : 大井 和郎 (684 文字)

更新日:2025年10月9日
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美しいアリアで、中間部はドラマティックな展開になります。この第2楽章で演奏のヒントとなる奏法の1つは和音の性格を考え、それを十分に表現することです。アリアですので、女性歌手は好きなように歌えることを前提とし、決してタイミングの呪縛に捕らわれないようにします。多く出てくる32分音符も、コンピュータのように機械的に弾くのでは無く、常に「メロディック」に抑揚を付けて下さい。

その上で、和音に敏感になって下さい。例えば冒頭12小節間は、平和で、期待に満ちていて、幸せに感じる部分の表現とします。一方で、同じテーマでありながら、1314小節間はどのように感じますか?ショックな響きですね?悲しみの表現としても感じられます。このような場所は12小節間とは完全にムードを変え、心の中の辛い部分の表現を、聴いている人達に判らせなければなりません。この1つ目のフレーズの終わり方は、12小節間であれば、2小節目2拍目のEで、その前の音から完全5度跳躍していますが、1314小節間の同じ場所は7度も跳躍しています。感情の強い表現と理解します。

また、この第2楽章には増6の和音もしばしば登場します。例えば、19小節目23拍間は、D Fis His で、これは、イタリアンシックスファイブと呼ばれる特殊な和音で、20小節目にて解決されます。とても表現が強い部分ですので、それなりに表現をしてみて下さい。

執筆者: 大井 和郎

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