ショパン :ピアノ協奏曲第1番 第1楽章 Op.11 CT47

Chopin, Frederic:Concerto pour piano et orchestre no.1 Mov.1 allegro maestoso

作品概要

楽器編成:ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) 
ジャンル:協奏曲
総演奏時間:21分30秒

解説 (1)

解説 : 岡田 安樹浩 (1033文字)

更新日:2019年1月15日
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第1楽章 ホ短調 4分の3拍子

協奏曲風のソナタ形式を模した構造を採っており、提示部が調的対立を構成原理としていないため、ヘ短調協奏曲の冒頭楽章と同様に、ソナタ形式というより大きな3部分形式である。

冒頭、まず刺繍音形と分散和音上行を特徴とするモティーフ(ホ→嬰ニ→ホ→ト→ロ)と、付点リズムで下行する躍動的なモティーフによるホ短調の主題が提示される。前半のモティーフは、楽章を通していたるところにあらわれる。続いて哀愁を帯びたカンティレーナ風の主題があらわれる(第25小節~)。低声部には先ほどの冒頭モティーフが持続低音のように鳴り響いており、このモティーフによる推移を経て、ホ長調(同主長調)の、やはりカンティレーナ風の主題が歌われる(第61小節~)。2つのカンティレーナ風主題は、1フレーズがおおよそ1オクターヴ以内にとどまっており、順次進行を基本としてアーチ状の旋律線を描いている点で共通している。ショパンのベルカント的な旋律美の面目躍如といったところだろう。

やはり冒頭動機による推移の後、独奏ピアノの登場となる(第139小節~)。まずホ短調の2つの主題を、技巧的な装飾をともないながら再提示する。これに続く推移(第179小節~)は、ピアノの即興的なパッセージの連鎖によって拡大されているが、その中には冒頭モティーフの刺繍音形や、下行音形が編み込まれている。

「情熱的にappassionato」と指示された旋回音形に導かれて、ホ長調主題が再提示される。これに続いて、休みない技巧的パッセージの連鎖を経てコデッタとなる。

展開部風の第2部(第385小節~)は、2つ目の主題(ホ短調のカンティレーナ)をハ長調(VI度調)に移して開始される。続いてピアノの技巧的なパッセージを「背景」として、オーケストラが冒頭モティーフをゼクエンツ風に反復した後、長く引き延ばされた属和音をともなって急速に下行するピアノの半音階が主題の再現を導く。

主題を再現する第3部(第486小節~)は、オーケストラが冒頭主題を、独奏ピアノが2つのカンティレーナ主題を担当する。長調のカンティレーナ主題は主調の平行調であるト長調へと移されている(第573小節~)。これは明らかに主調のコーダを導くためのものであり、形式上の独創性などではなく、戦略的な調設定として理解すべきであろう。

ホ短調へのドミナント進行によって主調へ回帰し、第1部と同様に技巧的な推移部にオーケストラのコーダが続いて楽章を閉じる。

執筆者: 岡田 安樹浩

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