譜面上、矛盾が生じる曲です。冒頭10小節間、これと同じような部分、前半最後の8小節間、後半最後の8小節間等、に対して、11小節目からのテンポはほぼ9割の奏者はテンポを速めます。つまり、11小節目からはプレストで弾けるのですが、1~10小節間等は、プレストでは弾けないのです。それは、例えば1小節目2拍目のトリルを観ても、32分音符がトリルの後に書かれており、それは32分の速さでトリルを続けるという事であり、そのためにはある程度のテンポダウンが必要になります。
ただ、だからと言って、この部分をゆっくりしすぎて、聴いていて別の曲にきこえるようではいけません。1~10小節間等、この部分は、聴いていても、落ち着き無く、急かされる、アジタート的な部分として聞こえなければなりません。
確かに、1~10小節間と16分音符が始まる11小節目以降は、どうしてもテンポは異ならなければなりません。しかし可能な限り一致させるようにします。
1つの助言として、例えば1小節目2~3拍間のトリルで時間を取ったとしても、2小節目、2つの和音はプレストで弾けるはずです。そうすることで、間延びすることを防げます。別の言葉で言うと、1~10小節間、聴衆が耳にした時点で、これは速い曲であるという印象を持たれなければなりません。