ムソルグスキーが41歳の時(1880年)に作曲されたと考えられている。この作品は、サンクト・ペテルブスルクの雑誌『新報』に掲載されている。そして、ムソルグスキーの友人にあたる俳優、I. F. ゴルボノフの舞台活動25年を祝して彼に捧げられている。
4分の4拍子のこの曲の冒頭には、「ラルゲット」と共に、「幻想曲、民謡風に」と併記されている。この曲の構成としては、明記されてはいないものの、ある種の変奏曲の形をとっている。まず、8小節の主要なテーマが提示される。その前半は単旋律で提示され、後半から左手が添えられている。続いて、このテーマそのものには手を加えることなく、4声体のコラール風に再度提示される。そして、その次にもう一度提示される際には、テーマの休符は取り除かれているが、主要なラインは変わらない。また、3声体で扱われているものの、低音がオクターヴで重ねられ、内声も重音を響かせるため、テクスチュアは逆に厚めとなっている。ここでは、メーノ・モッソ・グランディオーソとなり、テーマには「マルカート・イル・カント」の指示が、低音には「イル・バッソ・ベン・マルカート」の指示がなされている。そして、ここに続く部分からテーマにも手が加えられ始める。また、拍子もこれ以後4分の2拍子に変化する。まず、アッレグレット・スケルツォーソ・ノン・トロッポ・アレグロで左右の手が交互に弾く8分音符による1本のラインと右手の見の1本のラインが交互に現れる。続いて、ア・テンポ・ノン・アジタート(アッラ・ジンガーラ)となり、2拍目を強調しながら、テーマに基づく3声を主体とした部分が置かれている。そのようにして、テーマを手法を変えながら3回ほど提示した後、曲を締めくくる。