モーツァルト : ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491
Mozart, Wolfgang Amadeus : Konzert für Klavier und Orchester Nr.24 c-moll K.491
作品概要
解説 (1)
執筆者 : 稲田 小絵子
(712 文字)
更新日:2007年10月1日
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執筆者 : 稲田 小絵子 (712 文字)
モーツァルトのピアノ協奏曲中、第20番ニ短調と並ぶふたつきりの短調作品である。どちらもこのジャンルに付随する社交的な雰囲気を裏切っているが、第24番は、より激しい一面をもつ。オーボエに代わってクラリネットが導入された前2作とは異なり、第24番はその両方を併用することによって、より幅広い音響を手に入れているのである。ピアノも幅広い音域で主題を彩っている。それは技巧的ではあるが、単なる音の羅列では決してなく作品の要求に応えた動きをしており、管弦楽との調和が見事である。
作品は1786年3月24日に完成し、4月7日の予約演奏会で初演された。自筆譜では、ピアノ声部は何度も書き直されており、おそらく演奏の直前に加えたのであろう即興的なパッセージも見られる。もしかするとモーツァルト本人による初演では、楽譜に書かれた以上の音が響いたかもしれない。
第1楽章の作曲家自身によるカデンツァは残されていない。
第1楽章:アレグロ、ハ短調、3/4拍子。協奏的ソナタ形式。冒頭の弦とファゴットのユニゾンが減七音や半音を多用した異様な緊張感をもって始まるのに対し、独奏ピアノの主題はむしろ哀調を帯びている。楽章を通してピアノはこうした性格を受け持つが、一方で管弦楽を背景として華麗なパッセージを展開することも多い。
第2楽章:[ラルゲット]、変ホ長調、2/2拍子。ロンド形式。穏やかなアリアのような主題の間に、やや緊張感のあるエピソードが2つ挟まる。そこでは、木管の充実した響きがピアノ(および弦)と対話している。
第3楽章:[アレグレット]、ハ短調、2/2拍子。変奏形式。主題と8つの変奏から成る。この楽章ではピアノはシンフォニックな響きも有する。
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