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グリーグ :25のノルウェーの踊りと歌 Op.17

Grieg, Edvard Hagerup:25 Folkeviser og Danse behandlede Op.17

作品概要

作曲年:1869年 
出版年:1870年 
初出版社:Rabe & Harloff
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:27分00秒

解説 (1)

執筆者 : 齊藤 紀子 (3385文字)

更新日:2007年11月1日
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この作品は、ノルウェーの作曲家であり、オルガニスト、民俗音楽収集家でもあったL. M. リンデマン(1812-1887)の《古今ノルウェーの山のメロディー》から素材を得て編み合わされた。ノルウェーのヴァイオリニストで、世界にノルウェーの民俗音楽を紹介したオーレ・ブル(1810-1870)の亡くなった年に作曲され、彼に捧げられている。グリーグは、ブルに才能を認められ、ライプツィヒに留学している。

第1曲目は<スプリングダンス>。空虚5度で開始する生き生きとした性格を持つ4分の3拍子の舞曲。右手のメロディーに対し、左手はヘミオラを築き、ある種のポリリズムを生み出している。

第2曲目は<若者>。ヴォーゲの民謡による。そのテクストの大意は、「田舎の若者が彼女に尋ねた。すぐに戻るから旅に出てもよいか、と。」というものである。語りかけるようなメロディーが特徴的である。その下で、左手のラインは、しばしば完全5度の音程をなす。

第3曲目は<スプリングダンス>。この舞曲では、左手の伴奏に多様なタイプが見られる。

第4曲目は<ニルス・タッレフョレン>。イェルダールの民謡による。そのテクストの大意は、「背高のっぽで高慢ちきなニルス・タッレフョレンがホクストゥル農場へ求婚に行ったとさ。とてもうまく行ったとさ。お相手はとぅるで夫人だとよ。」というものである。たっぷりと歌い上げられるメロディーには、絶妙な和声づけがなされている。とりわけ、中間部で一度、かげりがもたらされるため、コーダで再び明るい雰囲気が取り戻されることが効果的である。

第5曲目は<ヨルストリング(ヨルステルの踊り)>。「ff」と「pp」の対比が鮮やかな序奏で開始し、主要テーマは、ここからモティーフを取り出している。トゥ・ダンス(爪先で踊るダンス)のこの曲は、4分の2拍子で書かれているが、絶えず8分音符が刻まれ、活気に満ち溢れている。8分の3拍子となる中間部では、主和音を保続する左手が特徴的な輪踊りの音楽も響く。

第6曲目は<婚礼の調べ>。ハリングダールのゴール地方の調べである。多声的に書かれており、人々が談笑する場面を思わせる。

第7曲目は<ハリング>。この曲は、ノルウェーの作曲家であり、指揮者、ヴァイオリニストでもあったヨハン・ハルヴォルセン(1864-1935)のヴァイオリンとピアノのためのノルウェー舞曲を編曲したものである。

第8曲目は<豚>。イェルダールの民謡による。そのテクストの大意は、「そしてその豚には15マイルも突き出した鼻があったのさ。おお、なんと汚い豚であることか。」というものである。この曲は、ワルツの性格を持つ。

第9曲目は<私の眼が苦しみに遭ったとき>。この曲集が捧げられたブルの葬儀に際して演奏された、カタリヌス・エリングの宗教曲集からとられている。そのテクストの大意は、「私の眼が重荷に倦み、憧れの心でサレムの心地よい岸辺を仰ぎ見るとき、私の悩みは消えていく。」というものである。コラールの書法で書かれている。

第10曲目は<求婚者の歌>。初版には、<オーレはあるときシンデで求婚しようと思った>というタイトルが付されていた。そのテクストの大意は、「オーレはあるとき村で一番器量の良いミッケルの娘に求婚しようと思った。でも、彼女はオーレに好意を持っただろうか?彼女はお金持ちで、ベッドもあって、求婚者なんていらなかったとさ。」というものである。第8曲目の<豚>と同様に、ワルツの性格を持つ。この曲で、グリーグは、付点8分音符と16分音符の組み合わせによるリズムと、8分音符と16分休符、16分音符によるリズムとを書き分けている。幅広い音域を上昇するイ短調の主和音の分散和音で曲を閉じる。

第11曲目は<戦いの歌>。初版には、<ノルウェーのドヴレ山地にて>というタイトルが付されていた。ペーデル・シーヴの《戦いのバラード集》にあるテクストの大意は、「ノルウェーのドヴレ山地には、悲しみを知らぬ戦士が眠っている。我々がやらなければ、誰がしきたりに則った葬儀を執り行うだろうか。」というものである。ドヴレ山地は、神々の伝説上の故郷である。

第12曲目は<ソルファーイェル(美しい太陽)と蛇の王様>。この民謡のテクストの大意は、「昨日、蛇の王様が馬に乗って農場へやって来た。ソルファーイェル(美しい太陽)は屋外で、髪を陽にあてていた。彼女は言った。あたしは馬に乗って森へ行きたい、と。」というものである。メロディーは上声で歌われ、そこに、シンコペーションによるリズムが特徴的な伴奏がつけられている。

第13曲目は<婚礼の行列の歌>。この曲では、右手も左手も重音ないしは和音を弾く。明るく生き生きとした性格を持っている。

第14曲目は<悲しい心で私は歌う>。アンダンテのこの曲は、高音域の左右のユニゾンで開始する。冒頭のこのユニゾンから、深みのある響きを生み出すことが求められていると言える。

第15曲目は<この前の土曜日の夕べ>。踊り明かす情景を描いていると考えられる。そのテクストの大意は、「この前の土曜日の夕べに、家路でパーティーに出くわした。日が昇り、時計が10時を指すまで家に帰らず、楽器を演奏したり、踊ったり、気ままに過ごした。」というものである。爪弾くような弦楽器を思わせる伴奏に乗り、高音域でメロディーが歌われる。

第16曲目は<私は可愛い少女を知っている>。アンダンテ・モルトのこの曲は、第14曲目の<悲しい心で私は歌う>と同様に、高音域の左右のユニゾンで開始する。子の曲では、メロディーが中声部で歌われ、主として、右手の親指が歌いあげる。

第17曲目は<アブとハエ>。この曲のテクストの大意は、クヴィクネに由来し、「アブがハエに言った。君はきっと僕にとって一番愛しい人になる、と。」となっている。この曲では、メロディーがしばしば中断される。

第18曲目は<つまずき踊り>。この曲のメロディーは、婚礼の祝宴で演奏されたと考えられている。絶えず見られるスタッカートが特徴的である。そして、常に前進力を前面に打ち出している。

第19曲目は<ホリェ・ダーレ>。初版には、<山に囚われたホリェ・ダーレ>というタイトルが付されていた。魔法使いに山小屋に閉じ込められた男、ホリェ・ダーレの物語である。そのテクストの大意は、「明るく清々しく夜が明け、魔法の力は消えていく。空は青く、小鳥たちは歌い始める。高い山の峰からは太陽が輝いている。日曜日の朝だ。人々は教会へ向かう。」というもので、山小屋から教会へ向かう人々の様子を感じ取るホリェ・ダーレのつらく悲しい立場を表している。

第20曲目は<ハリング>。アレグロ・モデラートのニ長調で書かれた、力強いセ各の民族舞踊である。ハリングは大抵、男性ソロによって演じられる。

第21曲目は<セーテの谷の人>。厳格に一貫したアクセント付けが特徴的な曲である。

第22曲目は<沼地を越えて>。ヴァルドレス地方に由来する、家畜を呼び集める歌と考えられている。そのテクストの大意は、「そのとき私たちは、沼地を越えて平和な丘に呼びかけた。動物たちよ、みなおいで。」というものである。主要なメロディー・ラインは、主として、ト長調の主和音の構成音を主体としている。

第23曲目は<うちのばあさんを見かけなかったかい?>。グリーグは、この曲のメロディーを後に、《交響的舞曲》においても用いている。はっきりとした性格を持ち、絶えずしゃべり続けているような曲である。

第24曲目は<婚礼の調べ>。ヴァルドレスのヴァングに由来し、花嫁が教会に入っていく時と教会から出てくる時に演奏されたメロディーと考えられている。モデラートのこの曲からは、花嫁の優雅さと同時に、足取りの軽やかさ、若々しさがうかがえる。スタッカートが付され、完全5度の音程を繰り返す左手が特徴的である。

第25曲目は<クローケルンドのオオガラスの婚礼>。この曲は、ノルウェー声部のソグンに由来すると考えられている。そのテクストの大意は、「遠く東のクローケルンドに素晴らしい町がある。そこには世界中の動物が放牧されている。花婿のクマ、ビョルンはもり一番の大物だ。」というものである。オクターヴが頻繁に見られ、壮大な雰囲気を醸し出している。

執筆者: 齊藤 紀子

楽章等 (25)

スプリング・ダンス Op.17-1

総演奏時間:1分00秒 

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Ungersvennen (若者) Op.17

総演奏時間:0分50秒 

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スプリング・ダンス Op.17-3

総演奏時間:0分50秒 

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Brurelat (婚礼の調べ) Op.17-6

総演奏時間:1分30秒 

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ハリング Op.17-7

総演奏時間:0分50秒 

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Grisen (豚) Op.17-8

総演奏時間:0分30秒 

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Friervise (男性求婚者の歌) Op.17

総演奏時間:1分00秒 

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Kjempevise (英雄の歌) Op.17

総演奏時間:1分00秒 

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Kleggen og fluga (アブとハエ) Op.17

総演奏時間:1分00秒 

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Stabbelaten (つまずき踊り) Op.17

総演奏時間:2分00秒 

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ホリェ・ダーレ Op.17

総演奏時間:0分40秒 

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ハリング Op.17

総演奏時間:0分30秒 

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Saebygga (セーテの谷の人) Op.17

総演奏時間:0分40秒 

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Brurelat (婚礼の調べ) Op.17

総演奏時間:0分50秒 

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