ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 第8番「悲愴」 第1楽章 Op.13

Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier Nr.8 "Pathetique" 1.Satz Grave-Allegro molto e con brio

作品概要

楽曲ID:26094
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:8分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・コンペ課題曲2024:E級級

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展4 発展5 展開1 展開2 展開3

楽譜情報:8件
  • クリックして画像を開く
  • tab

解説 (2)

解説 : 岡田 安樹浩 (898文字)

更新日:2019年1月6日
[開く]

ハ短調 4分の4拍子/2分の2拍子 序奏付きソナタ形式

[序奏部]

Graveの序奏はフォルテ・ピアノ(fp)の指示によってディナーミクのコントラストが追求されている。音の持続性に優れた現代のピアノでは、この表現はほとんど不可能であろう。和音と付点リズムによる動機のソプラノ・ライン(2小節単位でハ→ヘ→ハ)と、変イに到達してからの急速な落下音型は、主部における主要主題の動機に通じており、付点リズムの動機が発展した後、急速な半音階下降を経て主部へ突入する。

[提示部]

主要主題(第11小節~)は、オクターヴのトレモロ・バスの上に和音上行(ソプラノ・ラインはハ→ホ→ヘ→ト→変イ→ロ→ハ)と下降(ハ→ト→変ホ→ニ→ハ)。既に述べたように、主要主題を構成する動機の核となる音は、序奏部の動機と対応している。

主題が反復して確保されたのち、属和音の分散和音落下音型、主要主題の発展的あつかいによる推移を経て、副次主題(第51小節~)が変ホ短調(平行調の同主短調)で提示される。中音域の属保続音の上下にあらわれる動機(変ロ→変ホ→ヘ→変ト)は、後に第3楽章の主要主題としてあらわれる。

変ホ長調による経過的な第2の副次主題(第89小節~)を経て、コデッタでは主要主題を変ホ長調で回想される。

主部は反復記号によってリピートされるが、いくつかの版ではこの反復が冒頭の序奏部を含んでいるが、初版譜と同時代の諸版では主部のみの反復である。

[展開部+再現部]

まず序奏部Graveがト短調で回想され、次に主要主題がホ短調であらわれる。続いてオクターヴ・トレモロの保続音が上声部に移り、下声部で主要主題の要素が展開されると、今度はハ短調へ転じ、バスに属保続音のオクターヴ・トレモロをともなって主要主題が発展する。8小節の移行を経て再現部へ到達する。

再現部(第195小節~)では、1つ目の副次主題(第221小節~)がヘ短調で再現され、2つ目の副次主題はハ短調で再現される。

コーダ(第295小節~)において序奏Graveが再びあらわれるが、和音が省略されて付点リズムのみとなっている。もう一度主要主題があらわれて楽章が閉じられる。

執筆者: 岡田 安樹浩

演奏のヒント : 大井 和郎 (1989文字)

更新日:2019年12月20日
[開く]

参考動画&オーディション入選(3件)

瀬田 敦子
金田 真理子
松本 祥斗(入選)