ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 第24番「テレーゼ」 第2楽章 Op.78
Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier Nr.24 2.Satz Allegro vivace
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:発展4 発展5 展開1 展開2 展開3
解説 : 丸山 瑶子 (246文字)
第2楽章
第2楽章の主題は、規則的な小節構造や全声部揃った和音進行が一見、第1楽章の主題と真逆の明快なものだと思わせるが、主調嬰ヘ長調主和音からかけ離れた和音で始まる和声法はやはり素直な手法とは言えない。
主題が細かい音型の連続によるエピソードに転じてしまう点や、ロンド風形式を取りつつ性格の異なる複数のエピソードが現れるのではなく、実質的には単純な音型の羅列がロンド主題を繋ぐため、典型的なロンド形式と断言するのが躊躇われる。やはり第一楽章と似たように、各部分の機能がぼかされているようである。
解説 : 丸山 瑶子 (511文字)
主題の和音進行と規則的な小節構造は、一見すると第1楽章の主題とは真逆の明快さを思わせるが、主調の嬰ヘ長調主和音からかけ離れた和音で始まり、旋律がロ音上で落ち着くという曖昧な和声は、第1楽章冒頭の形式から読み取れるのと同じ「不明瞭」な性質を主題に与えている。
ロンド風の形式構造も第1楽章を思い出させる。第一に、主題が終わるかと思った瞬間に細かい音型の連続から成るエピソードへ転じてしまう点は、第1楽章の主要主題から推移部への転換とよく似ている。楽章間の第二の類似点は、ロンド主題と対照的なエピソードが交替するような慣習的なロンド形式構造には則さず、実質的に主題と上述のエピソードの連続との交替に終始する点に見出せる。第1楽章がソナタ形式の二項対立に欠けていたのと同じく、第2楽章においても、主題としてのまとまりを持った対照的性格の楽想が提示されているとは言い難い。
また第1楽章は序奏と主題の性格が緩徐楽章的で、第2楽章にはスケルツォ的諧謔さがあり、通常の4楽章構成が2楽章に凝集されているという指摘もある。この点も含めて、作品は両義性、素材の並列と原初的音形への抽象化、既存の形式原理の解体を核に、緊縮した総体を成している。
ピアノ・ソナタ 第24番 嬰ヘ長調「テレーゼ」Op.78 第2楽章
ピアノ・ソナタ 第24番「テレーゼ」Op.78 第2楽章
ピアノ・ソナタ 第24番「テレーゼ」 第2楽章
菊地 裕介
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