ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第24番「テレーゼ」 第2楽章 Op.78
Beethoven, Ludwig van : Sonate für Klavier Nr.24 2.Satz Allegro vivace
作品概要
解説 (1)
解説 : 丸山 瑶子
(511 文字)
更新日:2025年2月19日
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解説 : 丸山 瑶子 (511 文字)
更新日:2025年2月19日
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主題の和音進行と規則的な小節構造は、一見すると第1楽章の主題とは真逆の明快さを思わせるが、主調の嬰ヘ長調主和音からかけ離れた和音で始まり、旋律がロ音上で落ち着くという曖昧な和声は、第1楽章冒頭の形式から読み取れるのと同じ「不明瞭」な性質を主題に与えている。
ロンド風の形式構造も第1楽章を思い出させる。第一に、主題が終わるかと思った瞬間に細かい音型の連続から成るエピソードへ転じてしまう点は、第1楽章の主要主題から推移部への転換とよく似ている。楽章間の第二の類似点は、ロンド主題と対照的なエピソードが交替するような慣習的なロンド形式構造には則さず、実質的に主題と上述のエピソードの連続との交替に終始する点に見出せる。第1楽章がソナタ形式の二項対立に欠けていたのと同じく、第2楽章においても、主題としてのまとまりを持った対照的性格の楽想が提示されているとは言い難い。
また第1楽章は序奏と主題の性格が緩徐楽章的で、第2楽章にはスケルツォ的諧謔さがあり、通常の4楽章構成が2楽章に凝集されているという指摘もある。この点も含めて、作品は両義性、素材の並列と原初的音形への抽象化、既存の形式原理の解体を核に、緊縮した総体を成している。
執筆者:
丸山 瑶子
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ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ集 第2巻/原典版 : 第16番~第32番
ヘンレ社(ヤマハ)
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