作品概要
作曲年:1838年
出版年:1839年
初出版社:Breitkopf und Härtel
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:46分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (2)
執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部
(220 文字)
更新日:2010年1月1日
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執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (220 文字)
「ノヴェレッテ」とは短編小説の意味だが、シューマン自身は「冒険物語集」と呼んでいた。8曲合わせると、幻想的で広大な世界が広がっていく。36年から38年にかけてはピアノ曲の傑作が多く生まれ、シューマンの一つの頂点を成した時期である。ノヴェレッテのような小品集のスタイルがこの時期に完全に確立された。それぞれ詩的な小品を合わせて、全体で統一的な音楽像を結ぶという語法であり、内面の情景が音となって表出してくるスケールの大きさを持ち合わせている。
総説 : 上山 典子
(1000 文字)
更新日:2018年3月12日
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総説 : 上山 典子 (1000 文字)
8曲から成る《ノヴェレッテン》は、1838年の1月初頭~4月半ば頃にかけて作曲された。この時期、シューマン(1810-1856)の創作力はかつてないほどの高みに達していた。《子供の情景》Op.15、《クライスレリアーナ》Op.16など、ピアノ曲の傑作を次々仕上げるとともに、《幻想曲》ハ長調Op.17やソナタ第2番 Op.22などにも取り組んでいた。 現存するスケッチ帳から、シューマンが《ノヴェレッテン》のタイトルを創作の最初期から決めていたことがわかっている。それは「ノヴェレ(小説) Novelle」に「~ ette」の語尾を付けて小規模なものを表した「ノヴェレッテ(短編小説) Novellete」の複数形で、音楽作品に対してこのタイトルを用いたのは、作曲史上、シューマンが初めてだった。自身の創作のインスピレーションをしばしば詩的文学に求めたシューマンが、その領域から今度は作品のタイトルを導き出したことは、何の不思議もないだろう。文学と音楽の融合と言えば、2年前にはフレデリック・ショパン(1810-1849)も、物語詩的な様式の器楽曲に対して新しい名称を創出し、《バラード》第1番 ト短調として出版していた。その作品を高く評価していたシューマンが、ショパンの試みに刺激を受けた可能性は大いにあるだろう。(シューマンは1835年10月初旬、ピアノの師匠フリードリヒ・ヴィーク〔1785-1873〕宅でショパンと直接出会っている。) 《ノヴェレッテン》全8曲は1838年の夏以降、ライプツィヒのブライトコプフ・ウント・ヘルテル社で出版準備が開始され、当初はOp.16として、そのショパンに献呈される予定だった。ところが同年12月になるとシューマンは出版社に対して、この曲集をOp.19とし、友人でピアニスト兼作曲家のアドルフ・ヘンゼルト(1814-1889)に献呈する旨を伝えた。3カ月後の1839年3月、シューマンは今一度作品番号を変更、《ノヴェレッテン》は最終的にOp.21として、同年7月に出版された。 タイトルとは異なり、8曲の配列は最初から決められていたわけではなく、印刷の準備進行中にさえ何度か変更された。このことから、《ノヴェレッテン》は配列通りの全曲演奏を原則とする厳密な意味でのチクルス作品とは一線を画すものと理解されており、今日、8曲セットでの演奏はむしろ珍しい。
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