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シューマン :森の情景 Op.82

Schumann, Robert:Waldszenen Op.82

作品概要

作曲年:1848年 
出版年:1850年 
初出版社:Senff
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:18分10秒

解説 (1)

執筆者 : 齊藤 紀子 (1376文字)

更新日:2008年6月1日
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シューマンのよく知られているピアノ曲の多くは、20代に書かれたものだが、この《森の情景》は、歌曲や室内楽を多産した時期を経たのち、1848年暮れから翌年にかけて作曲された。完成までには約ひと月を要した。ピアノ作品としては実に10年ぶりの作品。

以前のピアノ作品と比べ、文学と音楽との結びつきは深みを増しているようだ。各曲はロマン派詩人たちの描いた「森」をモチーフに作曲されたと言われ、当初は各曲のモットーとして詩を添える予定であったという。しかし出版に際しては、第4曲目の<呪われた場所>にフリードリヒ・ヘッベルの詩が添えられているのみである。ドイツ・ロマン主義者の文学者、とりわけ詩人にとって、「森」とは、静寂・活気、神秘、憧憬、といった多様な趣を持つものであったようだ。

第1曲目 <森の入り口> 変ロ長調 4分の4拍子 速すぎずに

明るく始まるものの、陰と陽の対比がみられる曲。メロディーが高声、内声、低声と様々な音域で歌われる。

第2曲目 <待ち伏せる狩人> ニ短調 4分の4拍子 非常に活き活きと

<森の入り口>から一転して、激しさを貫く曲。左右の手がユニゾンとなる部分が効果的に挿入されている。

第3曲目 <もの悲しい花たち> 変ロ長調 4分の2拍子 質素に

訴えかけるかのように、メロディーが上に下に曲線を描いていく。簡素な伴奏は、このメロディーを非常に引き立てている。

第4曲目 <呪われた場所> ニ短調 4分の4拍子 非常にゆっくりと

既にふれた通り、この曲にのみ、冒頭に詩が添えられている。その内容は不気味なものである(光の届かない森の中で高く伸びた花は青白い。ただ一本赤い花も、陽の光ではなく、大地の色、人間の血を吸い込んだ赤色をしている。)。

多声的な書法がとられている。詩の内容と同様に、不気味な雰囲気を持つ曲となっている。その雰囲気は、休符を活かしたリズム、メロディー、多声的な書法など、様々なものから導き出されている。

第5曲目 <親しげな風景> 変ロ長調 4分の2拍子 速く

3連音符を多用する曲。その中に、ほんの僅かにみられる8分音符がフレーズの変化をもたらす。

第6曲目 <宿屋> 変ホ長調 4分の4拍子 中庸に

主に高声で歌われるメロディーが、時折、中音域や低音域に移り、会話を連想させる。メロディーそのものも、音形もリズムも共に、語りかけるような語尾が特徴的である。

第7曲目 <予言者としての鳥> ト短調 4分の4拍子 ゆっくりと、非常に優しく

半音を含む分散和音は、付点のリズムで上下に行き来する。曲の中ほどで、ほんのひと時、コラール風の場面がみられる。曲全体が、半音階的な音の動きに満たされている。

第8曲目 <狩りの歌> 変ホ長調 8分の6拍子 急速に、力強く

勇壮な趣に、どこか哀愁も感じられる曲。この曲も、8分の6拍子として付点4分音符の音価を3分割するところが多い中、曲の終わり近くに、2分割となる部分を効果的に配置している。

第9曲目 <別れ> 変ロ長調 4分の4拍子 速すぎずに

順次進行と跳躍進行とを織りあわせたメロディーに、和音が添えられたシンプルなつくりとなっている。しかし、そのような中にも、内声や和声が「ものを想う」味わいを醸し出している。この曲集全体は、主音の第3音を高音に配置し、「幻影」のような響きを残して幕を閉じる。

執筆者: 齊藤 紀子

楽章等 (9)

第1曲 森の入り口 Op.82-1

総演奏時間:1分40秒 

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第3曲 孤独な花 Op.82-3

総演奏時間:1分50秒 

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第4曲 気味の悪い場所 Op.82-4

総演奏時間:2分00秒 

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第5曲 親しみのある風景 Op.82-5

総演奏時間:1分00秒 

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第6曲 宿 Op.82-6

総演奏時間:1分50秒 

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第7曲 予言の鳥 Op.82-7

総演奏時間:3分00秒 

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第8曲 狩の歌 Op.82-8

総演奏時間:2分30秒 

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第9曲 別れ Op.82-9

総演奏時間:3分00秒 

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