チャイコフスキー :6つの小品 Op.19

Tchaikovsky, Pytr Il'ich:6 Pieces Op.19

作品概要

作曲年:1873年 
出版年:1874年 
初出版社:Jurgenson
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:性格小品
総演奏時間:29分00秒

解説 (1)

総説 : 中塚 友理奈 (2188文字)

更新日:2015年6月12日
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第1曲〈夕べの夢想Rêverie du soir〉はト短調、4分の3拍子。冒頭は主旋律を上声と内声とで交互に提示する。同主調であるト長調へ転調し、同音反復が目立ちながらもメロディックな和声が奏でられる。ト短調へ戻り、冒頭で現れた主題が再び現れる。その後右手が細かいパッセージを担い、左手が主題を歌い、pppで消えるように終わる。  第2曲〈ユーモラスなスケルツォScherzo humoristique〉はニ長調、8分の3拍子。明るい主題が駆け抜けるように提示される。中間部では変ホ長調へ転調する。Meno Mossoという指示はあるが、あまり極端に遅くはならない。ppで右手が属音(B)を保続している間、左手の和音は多様な変化を見せる。クレッシェンドしてfで力強く奏でられた後は、次の転調に向けてディミヌエンドし、pとなる。そしてテンポ・調・主題すべてが再現される。提示部・再現部ともに16分音符はきわめて軽く、4分音符と8分音符の組み合わせ(♩♪)は若干重めに奏される。最後は3オクターヴ以上もの範囲にわたる16分音符の上行→下行を経て、fffの和音によって力強く閉じられる。  第3曲〈アルバムの一葉Feuillet d’album〉はニ長調、4分の2拍子。冒頭の主題が滑らかに奏された後は、一転して歯切れの良いスタッカートが特徴的である。転調こそしていないが、ここではロ短調や嬰へ短調の響きも垣間見える。主題が再現された後は、p→ppと、消えていくように終わる。  第4曲〈夜想曲Nocturne〉嬰ハ短調、4分の4拍子。悲痛な叫びのようなメロディーが奏でられる。8小節目で4分の2拍子になり、再び4分の4拍子に戻ってから再び冒頭のメロディーが現れる。それまではほぼ和音のみを担っていた左手が、ここではその叫びに応じるかのように合いの手を入れる。中間部は4分の3拍子に変化し、なおかつイ長調へと転調する。主旋律は右手と左手が交互に担う。また、和音の音価が長くなったことで、響きがより豊かになっている。調性・拍子ともに元に戻ってからは左手がメロディーを再現する。右手は16分音符でメロディーを飾っていく。最後は右手がメロディーの担い手となる。  第5曲〈カプリッチョーソCapriccioso〉は変ロ長調、4分の2拍子。Allegro simpliceで始まる。メロディーはレガートで、重厚な和音もしっとりと奏でられる。poco a poco ritenuto, Quasi Andanteを経て、Allegro vivacissimoへと大きく変化する。目まぐるしく動く16分音符、弾むような和音が特徴である。そして最初のテンポに戻り、主題が2度繰り返されるが、2回目はオクターヴによってより重厚な響きが生まれる。次に左手が主題をひそやかに繰り返し、変ロ長調の和音に包まれていく。  第6曲〈創作主題と変奏Theme original et variations〉はヘ長調。テーマ、12の変奏、コーダから成る。素朴なテーマがAndante non tantoで奏された後、4分の3拍子となり、内声がより一層豊かになった第1変奏が穏やかに現れる。第2変奏では左手がメロディーを、右手が装飾的な役割を担う。第3変奏も同様だが、拍子が8分の3拍子となりテンポが一気に速くなる(Allegretto)。第4変奏は16分の9拍子になり、更にテンポが速くなり(Allegro vivace leggiero)、ほとんどが2音以上の和音の3連符で埋め尽くされている。第5変奏では、変ニ長調へと転調し、4分の3拍子となり、テンポも緩和される。(Andante Amoroso)旋律線がはっきりしていると同時に和音の響きも重厚なものとなっている。第6変奏からはヘ長調に戻るが、テンポはAllegto risolutoで8分の9拍子になるなど、一気に雰囲気が変わる。重みもあるが軽妙でもある。第7変奏はModerato assai、4分の3拍子。2~3音から成る和音の連続であり、時折1拍目や3拍目にアクセントが付けられている。ニ短調の属和音で終わった後、第8変奏(ニ短調、Allegro)へ。ここでは力強い和音と歯切れの良いスタッカートが対照的である。第9変奏はロ長調、8分の3拍子。Alla Mazurkaとあり、2拍目に重点が置かれる。左右ともにメロディーを担った後、華やかで装飾的な経過句を経て再び右手にメロディーが移る。第10変奏(Andante non troppo un poco rubato)はヘ短調、4分の4拍子。主に左手の内声がメロディーを担っている。第11変奏でヘ長調に戻る。4分の2拍子で、テンポが速くなる。(Allegro brillante)全て2音以上の和音で、オクターヴにわたるものが多い。ほとんどがfやffで奏される。また、Alla Schumann(シューマンのように)とも書かれている。第12変奏で4分の3拍子になり、左手(バス)が常に主音(F)を鳴らし続け、右手が主題を担う。続くコーダはprestoで、右手(ソプラノ)が主題を担う。16分音符による細かいパッセージと8分音符によるハーモニーが凄まじい勢いで変化し、最後は高らかに締めくくられる。

執筆者: 中塚 友理奈

楽章等 (6)

夕べの夢想 Op.19-1

調:ト短調  総演奏時間:3分30秒 

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ユーモラスなスケルツォ Op.19-2

調:ニ長調  総演奏時間:4分30秒 

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アルバムの綴り Op.19-3

調:ニ長調  総演奏時間:1分30秒 

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夜想曲 Op.19-4

調:嬰ハ短調  総演奏時間:4分00秒 

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カプリッチョーソ Op.19-5

調:変ロ長調  総演奏時間:3分30秒 

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創作主題と変奏 Op.19-6

調:ヘ長調  総演奏時間:12分00秒 

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