ラフマニノフ :エチュード(練習曲) 「音の絵」 第3番 Op.39-3 嬰ヘ短調
Rakhmaninov, Sergei Vasil'evich:Etudes-tableaux Allegro molto fis-moll Op.39-3
解説 : 山本 明尚 (272文字)
3/8、4/8、6/8を行き来する拍子が標示され、ヘミオラをふんだんに含んで提示される冒頭には、アレグロの速度による拍感が求められる。また、右手の二音による反行跳躍(ときに対位法的に進行する)と左手の和音を含む跳躍に、高い技巧が求められる。全体を通して激烈な動きと表現が特徴的な練習曲だが、ここでの激しさは、激しさそのもののためや超絶技巧の発露のために存在しているのではない。その中にはしっかりと、ラフマニノフによって彫琢されたニュアンスある和声進行や旋律が存在している。そのことは聴き手にとっての魅力にも、弾き手にとっての難所にもなっている。
エチュード(練習曲)「音の絵」Op.39-3 嬰ヘ短調