ラフマニノフ :エチュード(練習曲)「音の絵」 第5番 Op.33-5 ニ短調
Rakhmaninov, Sergei Vasil'evich:Etudes-tableaux Moderato d-moll Op.33-5
解説 : 山本 明尚 (266文字)
初版に収録されず、1947年の『ラフマニノフ作品全集』中に初めて収録された作品の一曲。短く素朴な序奏から紡ぎ出されるように音楽が始まる。掛け合うような伴奏音形の上、短い動機による軽快ながら哀愁ある右手の主題が楽曲の中心を占める。上声部や内声部に断続して現れるレガートによる美しく旋法的な旋律は、楽曲に深みと情動を刻み込んでいる。一方で、ラフマニノフ流の複雑で分厚いテクスチャの中で、どの音符・どの旋律にスポットライトを当て、どれを陰に置くのかの繊細な感覚を求められる点で、指の機械的運動以上の難易度を求められる練習曲と言えるだろう。
エチュード(練習曲)「音の絵」Op.33-5 Moderato
エチュード(練習曲)「音の絵」 作品33第5番 ニ短調