この《3つのマズルカ》作品56はカトリーヌ・マベルリー嬢に捧げられている。
1曲目のロ長調はアレグロ・ノン・タント。調性の捉えにくい導入部で開始する。マズルとオベレクの2つの楽想から成り、曲の最後にはこれら2つの楽想が融合されることが特徴的である。
2曲目のハ長調はヴィヴァーチェ。空虚5度が効果的に用いられるマズルである。曲の途中では、リディア旋法も響く。また、中間部には、カノンの手法がみられる。
3曲目のハ短調はモデラート。マズルカとしては規模が大きめで、クヤヴィアクで開始し、オベレク、クヤヴィアク、マズル…と変化に富む。また、49小節にわたるコーダを持つ。
※クヤヴィアク、マズル、オベレクの説明はこちら(佐藤展子さんの連載ページ)。