ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ 第4番 第1楽章 Op.7

Beethoven, Ludwig van:Sonate für Klavier Nr.4  1.Satz Allegro molto e con brio

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:8分30秒
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解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1596文字)

更新日:2019年12月5日
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ベートーヴェンのソナタの第1楽章が、複合拍子になっているソナタは希です。この曲を含め、あと2ー3曲しかありません。Op 57などはが複合拍子になっているのはもっと複雑な理由があるのですが、この曲の場合、複合拍子の特徴の1つでもある、「止まることなく進む」 という解釈で良いと思います。実際、曲は前へ前へと進むような、止まらないエネルギーに満ちあふれています。故に、1つの注意点として、出来ることであれば、テンポを1つにして、困難な場所でテンポを落とさないようにしたいところです。困難な箇所は、右手が16分音符に変わる、111小節目あたりからです。

ここの練習方法を簡単に説明します。1拍に6つの16分音符がありますね。その各ユニットで、最初の2音の指番号は1-2が多いのではないでしょうか?あとの4つの音は5-2-5-2が多いのではないでしょうか?ですので125252と仮定して説明します。111小節目の1拍目を例に取ります。

1 1の指をBに乗せておきます。何故乗せておくかというと、その状態の時の他の指の位置が確かな場所になるからです。例えば、120小節目の最初の1の指の音はFですが、Fは白伴ですので、伴盤の奥の方で5-2-5-2と弾かなくても済みます(つまりはまだ楽です)。ところが、1の指が黒伴に乗っかると、手全体が伴盤の奥の方を弾かなければならなく、こちらのほうが重たいので大変です。1の指を伴盤の上に乗せた状態を作るのは、その状況を再現するためです。

2 その上で、残りの5-2-5-2を練習します。16分音符6つの中で最初の2つ、つまり1-2はこのパッセージで殆ど問題がないはずです。問題があるのは、5-2-5-2の動きですので、これをユニット毎に1つずつ練習していきます。もちろん、111小節目の1拍目と2拍目は同じですから、1拍目を練習すれば2拍目を練習する必要はありません。同様に112小節目の2拍目の111小節目の1拍目と同じですから、練習の必要はないですね。

このように、種類の異なったユニットだけを抜粋します。そして、この5-2-5-2をどのくらいの時間練習しなければならないかと言うと、楽に弾けるようになるまでです。この5-2-5-2を、3分位、休むことなく弾き続けるのも結構きついと思います。上腕の筋肉が張ってくるはずです。そうしたら効果が出ている証拠になります。

もう1つの注意点は裏拍を感じてリズムを正確に弾くことでしょうか。127小節目辺りからのスフォルツアンドは1拍目裏拍に現れます。ここのリズムが甘い学習者がたまにいます。しっかりとカウントしましょう。

このソナタも弦楽四重奏とピアノトリオが背景にあると思って間違いありません。所々、右手のメロディーにはヴァイオリンのボーイングを連想させるようなアーティキュレーションが付けられています。

曲全体のムードとして、とても希望にあふれ、期待感にあふれ、幸福感があり、力強さがあります。

ベートーヴェンの人生で最も良かった時期ではないかと想像させられる位です。

その他の注意点:

51小節目や53小節目の右手の広いリーチを避けるために、最初の2音を左手で取る方法もあります。そうすれば右手がかなり楽になりますが、今度は左手が大変になります。これは自分の楽な方法をお取り下さい。

79ー80小節間、フォルテシモと書いてありますが、この時代のピアノはそこまでは大きな音が出なかったと推測され、ここはリストやラフマニノフのようなフォルテシモでは弾かないようにします、ペダルも踏まないというのも1つの考え方です。

85小節目から始まる、右手のオクターブは本当に難しいです。ここが機械的に硬くならないように演奏するのですが、かなりのppで演奏して丁度良くなります。そしてクレシェンドとディミニュエンドを守り、同じ音量が続かないようにします。

執筆者: 大井 和郎