プロコフィエフの作品はスタイルを知ることが大変重要なのですが、この曲も例外ではありません。基本的にテンポは1つにします。Bセクションでテンポを変えたり、揺らしたり、は御法度です。Aセクション、Bセクション、一貫して1つのテンポに留めておきます。
Bセクションではセクションそのものを器楽的に考えます。メロディーライン、伴奏、装飾等、どのような楽器が演奏しているのかを考え、器楽を想像してみてください。例えば、30小節目からのメロディーラインはヴァイオリンのソロと考えて、プロコフィエフのヴァイオリンコンチェルトなどを聴き、特徴をつかみます。
グリスアンドの部分でも、バックグラウンドにマリンバ等の打楽器が一緒に演奏しているような想像ができますが、これはプロコフィエフの他の作品を多く聴くことで想像することができます。
さて、これからお話しすることはこれまで述べてきたことと矛盾して聞こえるかも知れません。 「一貫してテンポを1つにして」と述べてきましたが、どうしても強調したいサプライズの部分が曲中に一カ所だけあり、そこだけは、筆者であれば放っておく訳にはいきません。幸い、その部分にはritが書かれておりますが、筆者であればmolt rallと書き換えたいくらいです。
その箇所は79小節目の3ー4拍間の和音です。ここを急激にテンポを遅くし、強調することにより (大きな音を出すのでは無く大げさにゆっくり表現します)、周りの空気が一変します。このプレリュードはこの3ー4拍目の為にあると言っても過言では無い、美しい部分です。ご参考まで。