バッハ :3声のインベンション(シンフォニア) 第13番 BWV 799 イ短調
Bach, Johann Sebastian:Sinfonia Nr.13 a-moll BWV 799
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:応用4 応用5 応用6 応用7 発展1 発展2 発展3 発展4
楽曲分析図 : 林川 崇 (82文字)
第36小節で新たに登場する模倣句は、第60小節でのThの最後の再現において、対位句を形成する。
譜例提供: ベーレンライター(Bärenreiter Verlag)
演奏のヒント : 大井 和郎 (929文字)
シンフォニア 第13番 イ短調 このシンフォニアは一見普通のシンフォニアに見えますが、独自の特徴があります。それは、2つの同じテーマ(主題)が同時に出てくる確率がかなり高いという特徴です。説明していきましょう。 1小節目よりソプラノを追い、3小節目の最初の16分音符であるAまでをテーマとします。シェーピングは実に見ての通り、山になっていますので、2小節目の最高音であるDまで膨らませ、以降は徐々に衰退してAまで下りてきます。以降、全て同じマナーでテーマをシェープします。 5小節目、アルトのテーマが出ます。そして13小節目、バスのテーマが出ます。この時点で初めて3声が一体になります。曲はC-durに転調し、21小節目よりテーマが出るのですが、よく見るとソプラノとアルト両方にテーマがありますね。1音目のリズムはオリジナルとは異なり、8分音符で出てきますが、それでも十分テーマと見なせます。 25小節目、今度は3度で再び2つのテーマが、同じくソプラノとアルトで出ます。次に29小節目、ソプラノ単独でd-mollのテーマが出ます。そして、33小節目、再びソプラノとアルトが3度で2つのテーマを同時に出します。 41小節目、バスのテーマが出て、42小節目アルトのテーマがそこに被ります。勿論これはstretta(ストレッタ)です。次に49小節目、最後の音が異なるものの、アルトのテーマと見なして良いでしょう。 そして53小節目、今度はソプラノとバスが同時にテーマを奏でます。そして最後に59小節目、ソプラノのテーマが出て終わりになりますが、これも最後の音が完全に解決しませんが、後のA Gis A で終結した感じがしますね。 ご覧頂いたように、このシンフォニアは2つの主題が同時に出ることが多く、それは3度であったり、6度であったりします。その場合、やはり、上の声部を優先して下の声部を抑え気味にすると良いでしょう。特に6度の場合それを気をつけます。 もう1つ、このシンフォニアの注意点はペダルを多用することによる濁りの問題です。実に繋ぎにくい箇所も多く、ついついペダルに頼ってしまいますが、できる限り濁りを避け、指で繋ぐように試してください。
3声のインベンション(シンフォニア) 第13番 イ短調
3声のインベンション(シンフォニア) BWV799 第13番 イ短調
シンフォニア 第13番 イ短調