close
ホーム > バッハ > シンフォニア > 第11番 ト短調

バッハ : シンフォニア 第11番 BWV 797 ト短調

Bach, Johann Sebastian : Sinfonia Nr.11 g-moll BWV 797

作品概要

楽曲ID:22623
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:1分10秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・コンペ課題曲2025:D級

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用4 応用5 応用6 応用7 発展1 発展2 発展3 発展4

楽譜情報:43件
  • クリックして画像を開く
  • tab

解説 (3)

解説 : 髙松 佑介 (291 文字)

更新日:2020年9月18日
[開く]

ト短調、3/4拍子。

「カンタービレ」の習得に適していると言わんばかりの抒情的な楽曲。この抒情性を裏打ちするのが、比較的長い主題と掛留が創出する不協和な響きだろう。

冒頭で提示される主題は8小節と比較的長く、ト短調の音階の下行形を核としている(第1小節:ト、第2小節:ヘ、第3小節:変ホ…第6小節:変ロ、第7小節:イ)。これに組み合わされる中声部の対旋律は3拍目からタイで繋がれ、次の小節の1拍目で不協和な響きを生み出し、3拍目で解決するよう設計されている。この不協和→解決の連続が曲全体を支配し、独特の抒情性を生み出している。また主題の冒頭部は、主要な動機として、繰り返し用いられる。

執筆者: 髙松 佑介

楽曲分析図 : 林川 崇 (102 文字)

更新日:2018年3月15日
[開く]

Mは、全体を通じて模倣句として繰り返される動機。        33小節目の上声部は、Mと共通のリズム・モチーフであるためM'とした。

譜例提供:  ベーレンライター(Bärenreiter Verlag)

執筆者: 林川 崇

演奏のヒント : 大井 和郎 (1498 文字)

更新日:2018年3月12日
[開く]

シンフォニア 第11番 ト短調  シンフォニアの中では比較的弾かれる機会が多いシンフォニアです。技術的にもそれほど難しくはありませんが、声部の独立が難しく、ここが課題になります。難しい理由の1つは、声部同士がかなり近い距離に居る事です。奏者は入念に各声部を見て、個々の声部を大切に扱ってください。特に、タイがかけられ次の小節まで伸びている音なども気をつけて声部を耳で聴くようにします。  ところでこのシンフォニア、他のシンフォニアと決定的に異なる事が1つあります。それは主題の少なさです。主題と決めて分析を進めると、結果、曲中に主題はわずか3つしか出てきません。異例の事です。このシンフォニアを分析してみようと思ったとき、1小節目から8小節目までもソプラノが主題と考えてしまおうものならば、主題は結果、1つしか出てきません。65小節目から出てくる最後の主題でさえも、異なった形で終わります。つまりオリジナルは1つも無い事になります。  そこで、主題を1小節目から4小節目のDまでのソプラノとします。半分のサイズにしてあげても、この主題が出てくるのはわずか3回で、2回目が29小節目ソプラノで、3回目は65小節目のソプラノです。  もうお気づきだとは思いますが、このように4小節間が主題と無理をして決めたとしても、主題はソプラノにしか出てきませんね。こんな事は今まであり得なかった事ですね。逆に、主題は、1小節目だけとか、2小節目までと、かなり制限をかけると今度は、多大なる量で主題が現れ、そうするとシークエンスも全て主題となってしまいます。これらの事実をどのように受け止め、どのように分析し、どのように演奏するかは奏者に委ねられますが、このシンフォニアは、セクションが綺麗に分かれています。曲は細かく分けると次のように分かれます。 A 1-8 B 9-16 C 17-29 D 30-36 E 37-47 F 48-64 G 65ー72  Bセクションでは、c-mollから始まり、B-durで終わります。このシンフォニアの平行調です。  Cセクションでは、2小節単位のシークエンスで下行し、24小節目から1小節単位のシークエンスで上行し、26小節目をピークとしてそこから徐々にシークエンスが下行します。  Dセクションではd-mollで始まり、d-mollで終わります。このシンフォニアの属調です。  Eセクションでは1小節単位のシークエンスが上行し、最高音のCに達します(41小節目)。しかし、和声的にはそんなにテンションが高まる(音量を上げるべき)場所では無いですね。  Fセクションでは、Cセクションと全く同じ事が起きます。  Gセクションでg-mollに戻ります。  奏者は各セクションを上手に利用して、音楽を作り上げてください。その他、どうしても左右の手の受け渡しが必要となる部分を書いておきます。  9小節目、トリルは後々の事を考え、右手34でトリルを弾き、アルトの声部は最初のDHGまでが左手、その次のオクターブ上のGは右手で取るようにします。  12小節目、アルト最初のGは右手、Es と Cを左手でとり、次のBを右手で取ります。  49小節目、アルトのCBCは左手でとります。  51小節目、アルトのBABは左手でとります。  その他、ペダルで注意するところが、6小節目のような部分です、バスにGが4分音符で来ているのに、アルトがFisまで下がってきます。これは、ペダルを少し使い、Gを伸ばすしか方法はありません。同じような箇所が数カ所出てきますので、同じように処理をします。

執筆者: 大井 和郎

参考動画&オーディション入選(1件)

鈴木 美音(入選)

楽譜続きをみる

楽譜一覧 (43)