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バッハ : シンフォニア 第9番 BWV 795 ヘ短調

Bach, Johann Sebastian : Sinfonia Nr.9 f-moll BWV 795

作品概要

楽曲ID:22621
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:1分50秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用4 応用5 応用6 応用7 発展1 発展2 発展3 発展4

楽譜情報:42件
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解説 (3)

解説 : 髙松 佑介 (380 文字)

更新日:2020年9月18日
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ヘ短調、4/4拍子。

第3番と同様に、主題が2つの対位主題と組み合わされる三重対位法によって構成される。冒頭で中声部によって提示される主題は、休符と2度下行がため息のような性格を表現しているのみならず、低声部に置かれる対位主題1は、苦悩や悲しみの表現に使われた「パッスス・ドゥリウスクルス」(4度音程の半音階下行)を基礎としている。さらに主題は、最も不協和である三全音の跳躍(第2小節冒頭)を含んでおり、哀歌的な曲調を強調する。

冒頭2小節では上声部が休止し、2声となっているが、第3小節からの主題提示では、上声部が主題、中声部が対位主題1を受け持ち、低声部が新たな対位主題2を導入する。曲全体を通して主題は10回提示されるが、冒頭を除く9回は常に2つの対位主題が組み合わされている。曲はおよそシンメトリックに構成され、主題の4~5回目・7~8回目は長調で現れる。

執筆者: 髙松 佑介

楽曲分析図 : 林川 崇 (89 文字)

更新日:2018年3月15日
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主題は3小節目以降常に、3つの声部における、a、b、c、3つの旋律の組み合わせを変えることにより提示される。

譜例提供:  ベーレンライター(Bärenreiter Verlag)

執筆者: 林川 崇

演奏のヒント : 大井 和郎 (1571 文字)

更新日:2018年3月12日
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シンフォニア 第9番 ヘ短調  このシンフォニアはとても音楽的に難しいと思います。特にピークポイントを向かえるような形式で書かれておらず、一見、同じテーマが繰り返し繰り返し流れていくように感じてしまいます。奏者はまず、このシンフォニアをよく分析し、自分なりのドラマを構築してください。分析にあたり、フーガには大雑把に分けて2種類の部分に分かれます。それはテーマ(主題)が登場している部分としてない部分の2種類です。テーマが登場しない部分は、大きく分けて2つに分かれ、エピソードとシークエンスの2つに分類できますが、これは後述します。  奏者は、テーマがある部分を把握するために、テーマはどこからどこまでという事が解っていなければなりません。勿論これは分析をする人によっても考え方が異なる場合もあり、それは誰が正しいとか間違っているとか言う問題でもありませんが、仮にこのシンフォニアは、1小節目のアルトから始まり、3小節目のAsで終わると仮定します。そしてこの形をテーマと決めてしまいましょう。  そうするとテーマは、3つの部分に分かれます。 1 8分音符3つから始まり(1小節目) 2 次にもう3つの8分音符がシークエンスのように上行形で登場し(1小節目)、 3 3つ目は山の形のように、最も高い音まで上がってから順次進行で下行します(2小節目)。  そしてこれ以外の、紛らわしいテーマのような音形は、前述した3つの部分から成り立っていない事にはテーマと呼ばない事にします。このような、テーマの断片だけが出てくる部分を Fragment of theme と呼びます。  さて、もう一度1小節目に戻ってテーマと同時に演奏される別の素材に注目します。それは半音階進行で進行する素材です。テーマをAとするのであれば、この半音階的進行をする素材をBとします。そして3小節目をご覧ください。バスに全く新しい素材が登場します。これを素材Cとします。  実はこのABCの素材は、最初の2小節を除き、その他全てのテーマが演奏される部分は必ず3つの素材が同時に登場する事になっています。そしてそれらは必ず2小節間で終わります。それでは分析をしてみましょう。 1-2小節間   A        B 3-4小節間   A        B        C 5-6小節間  下行しているエピソード 7-8小節間   B        C        A 9-10小節間  エピソード 11-12小節間  C         A         B 13-14小節間  A         B         C 15-17小節間  上行形シークエンス 18-19小節間  B         C         A 20-23小節間  エピソード 24-25小節間  B         C         A 26-27小節間  A         B         C 28-30小節間  上行形シークエンス 31-32小節間  A         B         C 33-34小節間  C         A         B  この分析を利用し、曲を作っていきましょう。単純な方法としては、これらのテーマでどのテーマが一番テンションが高いか考えてみたりします。仮に、18-19小節間のテーマはテンションが高いと感じた場合、そこはフォルテで演奏して良いのですが、18-19小節に至るまでの、15-17小節間はたまたま上行形シークエンスですね。それを利用しない手はありません。そのシークエンスを利用し、クレシェンドをかけ、18小節目に達すると自然な流れになります。逆に、ソフトなテーマであれば、事前にディミニュエンドをかけておけばよいでしょう。

執筆者: 大井 和郎

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