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バッハ : シンフォニア 第8番 BWV 794 ヘ長調

Bach, Johann Sebastian : Sinfonia Nr.8 F-Dur BWV 794

作品概要

楽曲ID:22620
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:1分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・コンペ課題曲2025:D級

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用4 応用5 応用6 応用7 発展1 発展2 発展3 発展4

楽譜情報:42件
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解説 (3)

解説 : 髙松 佑介 (399 文字)

更新日:2020年9月18日
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ヘ長調、4/4拍子。

《シンフォニア》15曲の中央に位置する第8番は、前後の曲と対照的な性格をもっている。生き生きとした曲調とは裏腹に、厳格な対位法で構築されているのが特徴的である。4つの主題提示部と3つの間奏から成る。

冒頭で提示される1小節の簡潔な主題は、中声部―上声部―下声部の順で提示され、主題の冒頭動機を用いた第1間奏(第4~5小節)を挟んで、例外的に属調で再度提示される(第5~7小節)。第7小節後半では、中声部が休止することで、新たな第2提示部の開始を告げる。ここでは、まず上声部と下声部がストレッタを形成しつつ摸続進行で転調し(第7小節~)、休止していた中声部がト短調で加わりつつ展開する(第11小節~)。比較的短い第2間奏(第15~17小節)、第3提示部(第17~19小節)、第3間奏(第19~20小節)に続いて、第21小節で下声部と上声部において主調で主題が回帰し、曲を締めくくる。

執筆者: 髙松 佑介

楽曲分析図 : 林川 崇 (35 文字)

更新日:2018年3月15日
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譜例提供:  ベーレンライター(Bärenreiter Verlag)

執筆者: 林川 崇

演奏のヒント : 大井 和郎 (1171 文字)

更新日:2018年3月12日
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シンフォニア 第8番 ヘ長調  バッハの中でも特に性格の強いF-durで書かれているシンフォニアです。躍動的で、明るいキャラクターです。さて、このシンフォニア、ちょっと他とは異なったシンフォニアです。それは、他のシンフォニアと比べてテーマの数が異常に多いという事です。実にトリッキーなテーマの書かれ方がされており、簡単に見逃してしまいます。  まず、それではテーマはどこからどこまでかという議論から始めたいと思います。もしかしたらテーマは1小節目1拍目裏拍アルトより3小節目1拍目表拍のCまでという人もいるかもしれません。そう仮定した場合、2小節目1拍目裏拍ソプラノが出てくる主題も同じテーマになるのですが、バスのテーマだけがいつまで経っても出てこなくなります。そこで、テーマは1小節目裏拍アルトのCより、2小節目表拍のAまでと仮定します。そうなったときにテーマの数は異常に多くなります。  全部列挙してみましょう。 1小節目 1拍目裏拍アルトのCから 2小節目 1拍目裏拍ソプラノのFから 3小節目 1拍目裏拍バスのCから 4小節目 上行形シークエンス 5小節目 3拍目裏拍バスのGから 6小節目 3拍目裏拍アルトのGから 7小節目 3拍目裏拍ソプラノのGから 4拍目裏拍バスのCから 8小節目 3拍目裏拍ソプラノのGから 4拍目裏拍バスのAから 9小節目 3拍目裏拍ソプラノのAから 4拍目裏拍バスのDから 10小節目 3拍目裏拍アルトのDから 11小節目 3拍目裏拍バスのDから 12小節目 3拍目裏拍バスのGから 13小節目 3拍目裏拍ソプラノのAから 14-17小節間 エピソード 17小節目 3拍目裏拍ソプラノのDから 3拍目裏拍アルトのFから 18小節目 3拍目裏拍ソプラノのFから 4拍目裏拍バスのBから 19-20小節間 上行形シークエンス 21小節目 1拍目裏拍バスのCから 22小節目 1拍目裏拍ソプラノのCから  ちなみに、同じく速いテンポで進む3番と比較してみたところ、完全なテーマは7つしか出てきません。この8番はそれに対して21個も出てきますので3倍多い計算になります。  奏者はこれらテーマを把握し、それらの場所を意識して、他の声部よりもハッキリと出すと良いです。加えてこのシンフォニアはストレッタの部分が多く(テーマがオーバーラップする部分)、例えば7小節目はソプラノとバスのテーマがストレッタになります。その際にコツとしては、どちらかをどちらかの声部よりも出すのでは無く、最初のテーマが始まり次のテーマが入って来たらすぐに新しいテーマを出すようにします。そうする事でテーマがオーバーラップしている事を聴かせる事ができます。  各テーマの調性も目まぐるしく変わります。それによって雰囲気を変えていきましょう。

執筆者: 大井 和郎

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