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バッハ : シンフォニア 第1番 BWV 787 ハ長調

Bach, Johann Sebastian : Sinfonia Nr.1 C-Dur BWV 787

作品概要

楽曲ID:22613
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:1分10秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・コンペ課題曲2025:D級

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用4 応用5 応用6 応用7 発展1 発展2 発展3 発展4

楽譜情報:42件
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解説 (3)

解説 : 髙松 佑介 (265 文字)

更新日:2020年9月18日
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ハ長調、4/4拍子。

この曲は基本的に、流れるような16分音符の順次進行によって構成されており、バッハが序文で記した「カンタービレの奏法」の習得に適している。この音階による主題は、様々な調や形(反行形)で現れ、組み合わされ、うねりを作る。これによって明確な段落形成が避けられており、「展開と構成が入り組んだ古風な書法」と指摘されている。

全体の構成を表すとすれば、4つの主題提示部として、第1提示部(第1小節~)と第2提示部(第8小節~)の前半部と、第3提示部(第12小節~)と第4提示部(第16小節~)の後半部に区切ることができる。

執筆者: 髙松 佑介

楽曲分析図 : 林川 崇 (87 文字)

更新日:2018年3月15日
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第20小節は、1拍目から2拍目頭の上声部、2拍目裏から終わりまでの中声部をつなぐとテーマの反行型になる。

譜例提供:  ベーレンライター(Bärenreiter Verlag)

執筆者: 林川 崇

演奏のヒント : 大井 和郎 (2390 文字)

更新日:2018年3月12日
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シンフォニア 第1番 ハ長調  インベンションもシンフォニアも、学習する順番は特には決まっていないと思いますが、まずは1番を勉強するのが自然とも思います。これが仮に、学習者にとって初めてのシンフォニアの場合、教師の方達は実に気をつけなければならない事が多くあります。  それでなくてもバッハを嫌う学習者が少なくない中で、インベンションからシンフォニアに移るときというのは丁度、中学入学の時期と重なります。この時期は最も学習者がピアノを止めてしまい易い時期でもあり、そこにこの3声のシンフォニアが登場すると更なる「止めたくなる理由」ができてしまいがちだからです。  2声のインベンションとは異なり、3声のシンフォニアは、インベンションの3-4倍の時間がかかる事をまず生徒さんに伝えてください。仮に、1週間に1曲のペースでインベンションを勉強してきた優秀な生徒さんでさえも、シンフォニアは1曲が1ヶ月以上かかる事を知らせておきます。つまりはものすごく難しい曲を勉強する事を伝えます。その上で、1つのフィンガーテクニックを同時に教えます。これはシンフォニアに生徒が入る前に実践させなければならないテクニック の1つで、多くのポリフォニー音楽で必須のテクニックになります。  8小節目3-4拍目のト音記号をご覧ください。ソプラノとアルトが2声で6度を保ちつつ下行していますね。シンフォニアの1番にはこの様な箇所が数カ所ありますね。この2声をペダルを使わずに指だけで繋げるようにします。その基本練習が次に書かれています。  次のプロセスをフォローしてください。 1.まず1の指でGを弾きます。 2.次ぎに5の指で6度上のEを弾きます。 3.Eを弾き終わったら1で押さえられているGを押さえられている状態のまま2に変えてしまいます。 4.本来1で押さえられていたGは2の指に変わりましたから、1の指は空いています。その1の指で2度下のFを弾きます。 5.次ぎに4の指で、5の指から2度下のDを弾きます。 6.弾き終わったら素早く4の指のDを押さえられている状態のまま5に変えてしまいます。 7.Dが5の指に変わったらすぐに1で押さえているFを2に変えます。 8.同じようなマナーで順々に下に降りてきます。 9.これを素早く降りてこれるように練習します。  このテクニックをマスターする事で、2声の6度進行は、ペダル無しで完全に繋ぐ事が可能になります。14小節目、3-4拍目のト音記号から、15小節目3拍目までのト音記号の部分では、やはりアルトとソプラノが6度で進行していますね。ここも同じテクニックを使います。  さて、それでは冒頭から曲を見ていきましょう。主題は1小節目、ト音記号、ソプラノから始まり、2小節目の2分音符、Eまでとします。以下テーマの場所です。 1小節目1拍目裏拍 ソプラノ 2小節目1拍目裏拍 アルト 3小節目1拍目裏拍 バス 5小節目1拍目裏拍 バス 8小節目3拍目裏拍 バス 12小節目1拍目裏拍 ソプラノ 13小節目1拍目裏拍 アルト 14小節目1拍目裏拍 バス 15小節目1拍目裏拍 バス 16小節目1拍目裏拍 アルト 19小節目1拍目裏拍 バス  学習者の皆様はこれらのテーマを把握し、他の声部よりもハッキリと聴かすようにします。曲そのものがとても穏やかで、横に流れる曲ですから、特に激しいフォルテはありませんが、これらのテーマでも、小さく出すべきもの、大きく出すべきものの差は付けて然るべきでしょう。例えば、12小節目のテーマは、そのムードや音形を考えたとき、他のテーマと比べて少し大きめで良いのでは無いかと思います。  ここから先は複雑なお勉強になってしまうのでできる限り簡単に説明します。バッハは、テーマを書くとき、その調によって音形を変えます。例えば、1小節目はC-durにいますので、これがオリジナルのテーマになるのですが、2小節目のテーマがCから始まるのであれば、本来ならHはBにならなければ1小節目のテーマと音程が一致しません。また、1小節目3拍目の最後の音から4拍目最初の音までは長3度で進みますから、本来は2小節目も同じでなければならないのですが、2小 節目の同じ場所は長2度で進んでいますね、これは「tonal answer」トーナルアンサーと呼ばれる書法で、その調に合わせてテーマを変形させます。  12小節目のテーマには、未だかつて無い減5度の跳躍が4拍目に見られます。これは今までにはなかった事です。感情表現は強いと見なす事ができますね。  このように、同じテーマでも色々なムードがあるはずです。その場のムードに合わせてダイナミックや音質を変化させるようにします。  この曲を演奏するにあたり、もう1つ注意する事は声部の独立です。この曲がもしかしてシンフォニアの最初の曲とするならば、学習者の皆様はインベンションのように単純には行かない事を把握しなければなりません。例えば3小節目のト音記号をご覧ください。ソプラノのラインはGFEDEFDですね。ところがこれが、GFECDEFDと、聞こえてしまう演奏にならないようにします。Cはアルトの音で、これがソプラノのメロディーと一緒に聞こえてしまってはいけません。譜面に書いてあるように、声部は独立して聞こえなければなりません。4小節目、2拍目も、EDCHAと聴かせてはいけません。DCHAはアルトが担当していますので、ソプラノとは分けて聴かせなければなりません。基本的は、ソプラノはきらびやかに、アルトはおとなしくというような音質やダイナミックに分けておくと良いです。声部は何故独立させなければならないかは後々解ってくると思います。今はとにかく、3つの声部に聞こえるように工夫をしてください。

執筆者: 大井 和郎

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