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バッハ : アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻 ポロネーズ BWV Anh.125 ト短調

Bach, Johann Sebastian : Das zweiten Notenbuch für Anna Magdalena Bach Polonaise g-moll BWV Anh.125

作品概要

楽曲ID:22603
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ポロネーズ
総演奏時間:1分40秒
著作権:パブリック・ドメイン
原曲・関連曲: バッハ, カール・フィリップ・エマヌエルポロネーズ ト短調

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用5

楽譜情報:15件
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解説 (2)

解説 : 今関 汐里 (149 文字)

更新日:2019年3月7日
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ヨハン・ゼバスティアン・バッハが二人目の妻アンナ・マグダレーナ・バッハに贈った音楽帖(第2巻)に収められている。この音楽帖の筆写の大部分には、息子たちの作品と思われるものも多数含まれている。Anh. 125は、2番目の息子カール・フィリップ・エマヌエルの作品。

 ト短調。2声のポロネーズ。二部形式。

執筆者: 今関 汐里

演奏のヒント : 大井 和郎 (1664 文字)

更新日:2019年5月23日
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この曲の難点は何と言っても右手の3度の動きにあります。これが流暢に出来ないことには曲としてかなり聴きづらくなります。4小節目、12小節目、13ー14小節間の3度です。そのほかの重音の動きについては後術します。

それではまず、技術的に難しい部分の解説から始めたいと思います。3小節目、2ー3拍目の右手の3度、これはテンポが速くないので問題はありませんね?4つの8分音符は全くおなじ指使いでも構いません。この3小節目、2ー3拍の3度が弾けないのであれば、この曲は諦めた方が無難です。

後にもっともっと難しい3度が出てくるからです。

難しい3度の指使いを書いておきます。もちろんこれがベストとは限りません。手のサイズによっても変わってくるとも思います。

4小節目:1ー2拍間、右手、16分音符2つは、31-42 2拍目表拍、31

8小節目:ここは色々なオプションがあり、迷うところです。筆者の指使いを書いておきます。1拍目裏拍右手、16分音符 3-2 さて、ここで注目して頂きたいのが、表拍にある4分音符の内声Fisの処理です。内声だけ、前の小節から弾いてみましょう。そうすると、この4分音符はアーティキュレーションで短く切る事が可能ですね。そうすると、このfisを4分音符分おさえておく必要はなくなり、演奏ははるかに楽になります。2拍目の2分音符の和音は、下から125で取ります。

12小節目:1拍目右手表拍13、裏拍16分音符 31ー42、2拍目、31

16小節目:1拍目表拍和音、125、裏拍16分音符2つ、5ー4、2拍目和音、下から125

ご参考まで。

さて皆さんはこの曲をどのようなイメージで捉えますか?音楽的なお話になります。人間の感情を単純に喜怒哀楽に分けた場合、この曲はどの部類に入るでしょうか?筆者の感想になりますが、この曲は、少なくとも甘ったるい甘美なイメージや、わくわくするような楽しさではない感じがします。少し厳しさがあり、厳格な雰囲気、きっぱりとした秩序正しいムードを感じることが出来ます。同意して頂けるのであれば、この曲は、どちらかというとマルカートで、テンポはもちろん揺らすことはなく、威厳を持ち、ハッキリと演奏します。冒頭2小節。誰かの台詞と考えたとき、そんなに柔らかいイメージはないと思いますが、1小節目と2小節目とでは、どちらの方がよりテンションが高いでしょうか?

どちらでも構わないと思います。筆者は1小節目の方が強く感じますが、それぞれの感じ方で構いません。ただし、この2小節、両方とも同じように弾かないようにします。どちらかが片方より若干弱く、あるいは強く弾きます。こうして平坦になることを避けます。

3小節目、曲のムードから言うと、左手の4分音符3つはレガートに弾きませんね。スタッカート、あるいはセミスタッカートで弾きます。その間、右手の2ー3拍間の3度は、スタッカートで良いと思います。右手はしかしながら、上の音(トップノート)を出し、ハッキリとしたメロディーラインを聴かせます。

4小節目、2ー3拍間の左手、粒をそろえるように気をつけましょう。

9小節目、ガラリとムードが変わりますね。1ー2小節間と同じ台詞を述べていると仮定しても、言い方が全然違います。もっと期待感があったり、柔軟であったり、ユーモラスであったり、何かしらの変化を感じ取り、強弱を付けて下さい。1ー2小節間がフォルテであれば、9小節目の主題はメゾピアノなどでも構いません。とにかくカラーを変えます。9ー12小節間がこの曲で最も楽天的な部分かも知れません。

何故なら13小節目以降、再び深刻な雰囲気に戻ります。それ以降、色々と試行錯誤を繰り返しているような感じを受けます。17ー19小節間の3小節間は、シークエンスです。このシークエンスを利用してダイナミックを変化させるとしたら、筆者であれば、後々の主題を鑑み、下行しているのにもかかわらず、クレシェンドをかけると思いますが、そのあたりは自由です。とにかく平坦にならないように気をつけて下さい。

執筆者: 大井 和郎

楽譜

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