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バッハ :平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第13番 前奏曲とフーガ BWV 858 嬰ヘ長調

Bach, Johann Sebastian:Das wohltemperierte Clavier, 1 teil, 24 Praludien und Fugen Prelude und Fuge Nr.13 Fis-Dur BWV 858

作品概要

楽曲ID:22511
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:3分40秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・コンペ課題曲2024:E級級

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展3 発展4 発展5 展開1 展開2 展開3

楽譜情報:19件
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解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1848文字)

更新日:2018年3月12日
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第13番 嬰ヘ長調 BWV858 プレリュード:  絶大な美しさを持つプレリュードです。このプレリュードを機械的に演奏するほどもったいないことはありません。たっぷり歌い上げて良いプレリュードであることは間違いありません。このプレリュードは下手をすると縦割りの音楽になってしまいがちです。横に流れる工夫が必要になります。ところが左手の付点8分音符は拍の頭を非情に刻みます。この「4拍子の表拍を刻む付点8分音符」が縦割りに聞こえてしまう原因となるのですが、それだけではありません。右手の声部が伸びている場所に限って左手が拍を刻むように書かれています。そうすると、右手の声部の伸びが聞こえなくなり、よって縦割りに聞こえてしまうのですね。  このような、左手と右手の音符がが互い違いに出てくる状況の曲で気をつけることは、どちらかの声部の音量をかなり落とすことにあります。例えば2小節目をご覧下さい。右手には(ト音記号には)、3つの8分音符が1-3拍間にあります。各8分音符は次の16分音符まで、鳴らし続けていたいのですが、そのタイミングに左手が入ってきますね。そしてその左手を大きな音で弾けば、右手の声部を消すことになります。  故に、左手は音量を落とし、奏者、学習者は、右手の8分音符が「伸びていることを確認」しながら、音を耳で聴き続けながら演奏すると良いと思います。  ここから先は主観的な話になります。各セクション毎の説明に移ります。1小節目に登場する、右手のアルペジオの主題とそれに掛け合う左手の主題は、このプレリュードの中で何カ所か書かれています。最初に一区切りつける場所は4小節目の最初の右手の音であるAisです。この音は前の小節のHが解決した音と見なしますので、消えていくように、pで弾きます。その前は、2小節目で右手がDisに達していて、恐らくここが最も音量が大きなところではないかと思います。あとは、バスが下行してくるようにdiminuendoをかけ、4小節目のAisにたどり着きます。4小節目からは今度は、バスは上行し、少しテンションを上げますが、5小節目に至ってカデンツとなり、6小節目でCis-durに転調します。  Cis-durに転調したら、少しFis-durとは雰囲気を異ならせてみましょう。Cis-durのほうがよりきらびやかで芯の強いイメージがあるかもしれません。主題の後の下行するバス(7-9小節間)や、後に上行するバス(11小節目)などは先ほどのFis-durの例と同じです。しかし今回は短調に転調しますので雰囲気も異なります。Cのダブルシャープが出てきますね。これがDis-mollの導音となり、12小節目に至ってDis-mollの主題になりますが、すぐに今度はAis-mollに転調します(15小節目)。そしてGis-mollと、以降、めまぐるしく調が変わります。奏者は各調のムードを異ならせ、異なったカラーを与え、いつも自分は山のどのあたりにいるのかを把握してください。 フーガ:  こんなに楽しいフーガも珍しいはずなのに、何故か暗く弾かれてしまうことが多いフーガです。  7小節目以降、16分音符の音型を見て下さい。この音型はフーガ全体に延々と続きます。とても落ち着きの無い楽しさとでも言いましょうか、決して元気の無い演奏にならないように注意します。  テーマは1小節目から始まり、3小節目の最初の音である8分音符のAisまでとします。以降、このテーマの断片が頻繁に登場します。最初の区切りは恐らく11小節目の3拍目の表拍ではないかと思います。20小節目では、テーマはバスでDis-mollに転調します。その他、シークエンスを繰り返し、最後にFis-durのテーマに戻り(31小節目)、終わります。  この16分の音型に関してですが、12小節目を例にとって説明をします。ここではバスにその音型が登場しますね。2拍目をご覧下さい。音は、Ais Fis Fis Ais ですが、次の拍には、H Fis Fis H 、次の拍にはCis Fis Fis Cis と音程が徐々に広がっていきますね。この場合、ダイナミックは当然音程が広がるほどクレシェンドになって然るべきだと思います。  そしてアーティキュレーションは、表拍から2つずつ、レガートをかけ、1拍に2つのユニットができるようにします(Ais-Fis, Fis-Ais, H-Fis, FIs-H etc)。

執筆者: 大井 和郎

楽章等 (2)

第13番 前奏曲

調:嬰ヘ長調 

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第13番 フーガ

調:嬰ヘ長調  総演奏時間:2分10秒 

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