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バッハ : インヴェンション  第7番 BWV 778 ホ短調

Bach, Johann Sebastian : Invention Nr.7 e-moll BWV 778

作品概要

楽曲ID:22490
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:1分10秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用3 応用4 応用5 応用6 応用7 発展1

楽譜情報:35件
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解説 (3)

解説 : 髙松 佑介 (342 文字)

更新日:2020年9月18日
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ホ短調、4/4拍子。

この曲は、第1番と同様に、簡潔な動機の操作によって構成されている。冒頭で提示される動機は、音の高さを変えて反復されたり(摸続進行)、反行形として用いられたりと様々な形で繰り返される。

曲全体は3つの主題提示部から成る。第1提示部は第1小節から、主題の模倣や摸続進行によって展開し、第7小節で半終止する。第2提示部(第7~15小節)では、ト長調の属音を保続音として、低声部が冒頭動機を加工して展開する。保続音のあとも展開が続くが、主題の1小節目を16分音符の前半部と付点リズムを含む後半部に分け、それぞれを別々に加工している。第15小節から(第3提示部)は、低声部を保続音として上声部が自由な発展を行い、それを低声部が引き継ぐことで、第20小節からの終結部を準備する。

執筆者: 髙松 佑介

楽曲分析図 : 林川 崇 (214 文字)

更新日:2018年3月15日
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a'は上声2拍目の動機。15小節目から右手に、17小節目から左手に現れる主題cには、冒頭の主題のh-a-g-fis-gが含まれている。

7小節以降は殆どが嬉遊部としての性質を持っているため、細かい区分は記載しなかった。

11小節目4拍目裏~12小節1拍目にかけて、下声部に動機aが現れ、ストレッタ(主題が終わらないうちに別の声部から主題が現れること)を形成している。

譜例提供:ベーレンライター(Bärenreiter Verlag)

執筆者: 林川 崇

演奏のヒント : 大井 和郎 (1377 文字)

更新日:2018年3月12日
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第7番 ホ短調  平均律、シンフォニア、トッカータなどに見られるバッハのe-mollという調は、深刻さの中に美しさがあります。この曲中に書いてあるトリルの数やタイミングを考えると、あまりテンポの速い曲では無い事が読んで取れます。そしてこれらのトリルの多さから判断すると、この曲には即興的な要素も含まれているのかもしれません。つまりは、他のインベンションに比べれば多少即興的であり自由で良いとも思います。  この曲は4番と同じく、長いトリルが左右の手に出てきます。これらの長いトリルは、テクニックの有無をあからさまにしてしまいます。指導者の皆さんは、学習者に4番もしくはこの7番を与えるとき、十分気をつけて与えるようにしてください。何故なら、この長いトリルが速く弾けなかったり粒が揃わなかったり、ムラが出たとき、曲はとても聞きづらいものになり、結果、生徒さんの自信を喪失しかねないからです。  さて、この曲の主題ですが、他のインベンションと同じく、裏拍から始まります。よって表拍の音は前のフレーズの最後の音となることが多く、決してその音にはアクセントを付けないようにします。冒頭、2小節目の1拍目、表拍のDisがそれです。3小節目、1拍目表拍のGも2小節目のフレーズの最後の音になり、1拍目裏拍より次のフレーズが始まります。いつでもフレーズの始まりと終わりを把握しておきましょう。  メロディーラインのシェーピングですが2つ考え方があります。1小節目を例に取ります。主題は1拍目裏拍から始まり、2小節目表拍で終わりますが、その間、最も高い位置にある音は4拍目のFisになります。Fisは前のEよりも大きいか小さいかという議論はさておき、仮に4拍目を最もテンションが高まるところであると仮定した場合、それまでの道筋が議論になります。  1つの考え方として、1拍目裏拍より2拍目最後の音を見てみると、H A G Fis E という音階があることが分かります。そうすると最後のEはHから徐々に下がってきてpになるという考え方です。もう1つの考え方は、4拍目に向かうので、1-2拍目が下行していようとクレシェンドをかけ、テンションを高めていくという考え方です。どちらが間違っているとか合っているとかの問題ではありませんので、ご自身で感じられる方を取れば良いと思います。  さて、2小節目の最初の右手の音であるDisは、1小節目からの主題の終わりの音になりますが、このDisを弾いた後、切れ目を作って次のFisを弾くか、切れ目を作らずにFisに行くかも自由です。  もう1つの議論は15小節目、3拍目から始まる長いトリルの問題です。15小節目3拍目は明らかに最もテンションの高まるところですので、フォルテで良いと思いますが、そおから徐々に、シークエンスを辿って下行して、17小節目の3拍目に向かってdiminuendoをかけていけば良いのですが、選択肢はその際のペダリングです。15小節目3拍目から多少のペダルを入れることでドラマティックな奥深さが出ます。  反面、濁りが生じます。筆者個人がコンサートで演奏するのであれば間違いなくペダルを少し入れて、効果をつけますが、弟子をコンクールに出す場合などは考えてしまうと思います。皆さんはどのように感じられるでしょうか?

執筆者: 大井 和郎

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