象の子守歌
タイトルは通常「象」と訳されるが、原題は固有名詞の「ジャンボJumbo」(ロンドンの動物園に実在した象で「巨大な」の語源にもなった)である。自筆譜ではフランス語で「ジャンボ」と発音する”Jimbo”と誤って綴られ、初版にも引き継がれたが、新全集版では訂正されている。
この曲では、3つの主題が重要な役割をする。
1.冒頭に左手に出てくる主題。doux et un peu gauche(優しく、そして少し不器用に)という指示は、少女が象のぬいぐるみに歌っているイメージからだろう。

2.フランスの古い子守歌”Do do l’enfant do”

この主題は第39小節から始まる中間部に現れる他、第11~14小節に拡大形で先行して現れる。
「象の子守歌」第9~18小節

「象の子守歌」第37~40小節

なお、この子守歌は、偶然にもシュシュの異父姉エレーヌ・バルダックにフォーレが献呈した組曲「ドリー」の第2曲「ミ・ア・ウー」にも引用されている。
フォーレ:「ドリー」Op.56より 第2曲「ミ・ア・ウー」第117~124小節

3.第47小節に右手に現れる主題。

第63小節から始まる再現部では、1.と3.の主題が組み合わされる。
「象の子守歌」第61~64小節
