覚悟はいいか 俺の肩よ!
振り上がれ 俺の腕よ!
顔に吹きつけろ
真昼の風よ!
エピグラフは農村の風景や農民の労働を題材として詩にしたことで知られるアレクセイ・コリツォーフの「草刈り人」(1836)より。
チャイコフスキーはここで、夏の農村の夏の民衆生活を客観的に切り取っている。ここでは、収穫の時期を控えた季節、家畜の餌の干し草づくりのために、集団で野の草を刈り取る儀式的作業である。
頭拍を強調した素朴な主題旋律からは、仕事歌を歌いながら力を込めて鎌を振って進む人々の風景が浮かんでは来ないだろうか。コントラストをなす短調の中間部はまるで、暑い7月の野外での苦しい作業と、そこに吹き付ける一陣の風のようである――と解釈しては穿ち過ぎだろうか。