もうすぐにぎやかなマースレニツァ
盛大な宴が活気づく
エピグラフはヴャーゼムスキーの「異国の謝肉祭」(1853)から取られている。
題名のマースレニツァとは、大斎期直前の一週間に行われ、春を迎えるロシアの民間儀礼のことで、古くからロシア人の生活に密接に関わっていた。家ではブリヌィ(クレープに似た伝統料理)が焼かれ、伝統料理が並び、若者たちは盛大に騒ぐ。野外も遊ぶ人々で賑やかになり、縁日、見世物小屋、のぞきからくり、さらには殴り合いの喧嘩すらも、この時期の街の華となる。
楽曲は、再現部を短縮した複合三部形式。主要部は、祝祭の快活さや楽しさが全体に満ち満ちている。冒頭の賑々しい和音は、見世物小屋のアコーディオンを模していると思われる。ヘ長調の中間部では、やや落ち着くものの、半音の使い方や、中とみられるパッセージはユーモアに満ちている。