ショパン :ノクターン[夜想曲](全21曲) 第1番 Op.9-1 CT108 変ロ短調

Chopin, Frederic:Nocturnes Nocturne No.1 b-moll Op.9-1 CT108

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ノクターン
総演奏時間:5分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
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解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1564文字)

更新日:2018年3月12日
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第1番 Op.9-1 b-moll  

音楽的に大変難しいノクターンです。ABA形式ですが、Bをどのように聴かせるかによって演奏の評価が変わってきます。このBセクション、ひとつ間違えると本当に眠りを誘う曲になりかねません。演奏法の助言は後述します。それでは順番に見ていきましょう。

冒頭の6つの8分音符をどのように演奏するかで後の展開がわかってしまうほど、この6つ8分音符のパッセージは重要です。この、BCDesABGes を、BCDesCBGesに変えて演奏してみてください。なんとも味気のない曲になることでしょうか。非和声音はこの6つの8分音符に3つあり、それぞれ和声音に挟まれています。しかしこのAナチュラルは大変重要な音で、この音を感じながらメロディーラインをシェープします。くれぐれも、この6つの音が全部同じ音量、同じタイミングにならないようにしてください。

最終的に、この6つの音符は1小節目冒頭のメロディーであるFにたどり着くのですが、必ずディミニュエンドで辿り着いてください。そしてこの辿り着いたFは、次に3つ、同じFが来ることになりますね(1小節目)。楽譜にも書いてある通り、恐らく、4つ目のFに向かって(導かれて)進むようにして、この4つのFも決して同じ音量と同じタイミングにならないように気をつけてください。

2-3小節間の右手に出てくる、11連符や22連符はたっぷりと時間を取り、決して急がないようにします。しかし止まらないように。

11小節目、右手が2オクターブ上のFに行きますね。譜面上にもこの2つのF近辺にクレッシェンドマーキングが書いてあります。しかし筆者であれば、2オクターブ上のFはそんなに大きな音では弾かないと思います。歌の人のように、十分に時間をとって2オクターブ上のFに達する時、そのFよりもむしろそこから下がってくる音階に対して少し音量を与えてやると良いと思います。17小節目も同じです。そこまで大きくはしません。

続いてのBセクションですが、まずオクターブでメロディーラインが書いてありますので、ここからすでに注意をしなければなりません。単旋律とは異なり、オクターブでメロディーが書かれてある場合、シェープもしにくく、いとも簡単に硬く聴かせることができてしまいます。結果、単旋律の半分の音量で十分です。そして1の指には力を入れないで、5の指、または4の指に入れるようにします。

その上で、このBセクションは夢の世界と考えて良いと思います。結論から申し上げますと、このBセクションを同じテンポで演奏してしまってはいけません。常に動きをつけてください。このセクションにはリラックスする箇所と、気持ちが落ち着かない箇所があります。例えば、19-20小節間はとても精神的に落ち着ける箇所ですが、21小節目の上行形は少し気持ちが押されます。そして22小節目で再び落ち着きます。

25小節目、2拍目から26小節目気持ちがかなり高ぶります。36-37小節間、51-56小節間などは最も気持ちが高ぶります。一つのアイデアとしてですが、気持ちが落ち着く箇所はテンポを緩め、気持ちが押される箇所は、テンポもagitatoにして処理をしてみてはいかがでしょうか?

このセクションのテンポですが、冒頭がLarghettoと書いてありますので、このBセクションもそのままのテンポで進んでしまいがちですが、筆者はBセクションに con moto などの表示があっても良いと思います。Bセクションを鵜呑みにしてゆっくりしたテンポで弾いた時、このノクターンはかなり退屈な曲となります。ある程度のテンポを設定し、遅くなりすぎないように(Aと同じにならないように)注意し、自由に動いてみてください。きっと理に叶うはずです。

執筆者: 大井 和郎

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