ショパン : エチュード集(練習曲集) 第12番 「革命」 Op.10-12 ハ短調
Chopin, Frederic : 12 études Etude No.12 c-moll Op.10-12
作品概要
解説 (2)
解説 : 今関 汐里
(568 文字)
更新日:2019年8月7日
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解説 : 今関 汐里 (568 文字)
ストックホルムの音楽文化財団Stiftelsen Musikkulturens Främjandeに自筆譜が所蔵されている。
1830~32年作曲。
ハ短調、4分の4拍子、Allegro con fuoco
「革命」という、フランツ・リストによる通称で知られる。1830年12月にロシア軍が、ワルシャワに攻め入ったことを知ったショパンが、失意と怒りに突き動かされて、翌年に本作品を作曲したといわれているが、実際には、1831年以前から着手していたとみられている。
右手のオクターヴの旋律、左手の16分音符の細かいパッセージワークが課題となり、左手の指の独立、右手を無理なく広げ、オクターヴを含む和音を無理なく、各音を均等に抑えることが要求される。
ハ短調の属七の和音で緊迫感の中で始まり、その後も10小節目まで主和音が鳴らされることなく進む。右手オクターヴの主題(10小節~)は、左手の低音から高音へと波打つような音型の切迫した雰囲気の中で決然と提示される。転調の激しい中間部の後、5小節目で現れた16分音符での両手のユニゾンが再現され(44小節~)、冒頭主題が回帰する(50小節~)。76小節目からのコーダでは、同主長調であるハ長調が一時的に現れ、一時的な平穏が感じられるが、最後は両手のユニゾンで高音域から低音域に一気に駆け下り、幕を閉じる。
演奏のヒント : 大井 和郎
(2776 文字)
更新日:2018年3月12日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (2776 文字)
第12番 ハ短調「革命」 特に音楽的理解という事で全体的に特筆すべき注意点はありませんが、多くの装飾的音符が右手に入ってくるとき、左手は16分音符が休み無く並べられており、右手を優先しつつ音楽を止めないようにすることが重要でしょうか。このエチュードに関しては、実に様々な演奏法があり、奏者によってもかなり異なってくるエチュードです。どれが正しくてどれが間違っていると言うことはありません。これからお話をすることも一例として活用して下さい。 ペダルについて: まず、冒頭、ペダルの問題は8小節目まで続くと思って頂いて良いです。つまりは、多くの学習者がペダルを多用し過ぎてしまい、16分音符に濁りが発生してしまうことです。この冒頭8小節間はペダルは最小限にとどめ、控え、16分音符の濁りを避けて下さい。濁る、濁らない という主観的な問題は、ロマン派の曲を演奏する際に実に際どい例も出てきます。基本的にはバスを最優先します。例えば、9小節目、この小節ではペダルを一切変えることなく1小節間ペダルを伸ばし続けます。この場合、バスは最初の左手のCであり、この小節内ではこれより低い音はありません。 従ってCのバスを伸ばし続けるわけですが、途中、例えば3拍目でペダルを変えてしまおうものなら、バスをその瞬間に失います。 10小節目、ここではバスが1拍目頭と3拍目頭の両方にありますね。このような場合はペダルを3拍目で変えて良いと思います。特に12小節目のような、メロディーラインが短2度の関係になってしまう場合、3拍目で変えることは必須です。15小節目など、和音が2拍毎に変わりますので、勿論ペダルをその都度変えます。 17小節目のように、1拍目表拍のみにバスが書かれてあるのにも関わらず、その先は半音階的進行の場合、奏者の判断に委ねられますが、筆者であればバスを2拍分は伸ばし、その後でペダルを控えめにすると思います。29小節目のような箇所の場合、ここもバスは1つしかありませんのでこの音はある程度ペダルで伸ばしますが、3-4拍目などは細かに変えるか、あるいはペダルは不要かもしれません。 また、36小節目のように、フォルテッシモに向かってクレッシェンドをかける場合については、左手の16分音符が音階を辿ろうとも、ペダルを十分につけて厚みを出します。基本的にはペダルの多用には注意して下さい。 付点のリズムについて: この曲は、曲全体に付点のリズムが付いて回ります。その時の奏法により、音楽はガラリと変わってきます。これからお話しすることを是非習得して下さい。 2小節目の4拍目から3小節目の1拍目までを例に取ります。全ての付点リズムはこれを参考にして処理して下さい。2小節目の4拍目から3小節目の1拍目までに音が3つあると仮定します。 勿論これは縦に見たとき3カ所にあるという意味です。AsとGとDです。Asが付点、Gが16分音符、Dが2分音符です。まずAsにはアクセントが書いてありますが、力を入れるのはこの音と、3小節目のDになります。この2つに力が入ります。故に、2小節目のGは力を入れず、恰もDにくっついている装飾音と考え、「1つのモーション」で「一気に」2つの音を弾きます。 つまりは、GとDはほぼ同じタイミングで弾かれることになります。しかもGに力が殆どはいらなければ、スムーズに付点のリズムがきこえます。要はこれだけの話なのですが、これが後に、色々と厄介になってきます。GからDは5度離れていますので、これはできない人はあまりいないのですが、例えば、4小節目4拍目から、5小節目1拍目の同じリズムは、7度も離れています。そこで学習者はついついGに力を入れるか、Gから次のFへのタイミングが極端に遅くなるか、またその両方かになります。1回目はできて、2回目ができなくなるのは明らかにリーチが広いからです。7度も飛ぶとなると、ミスタッチを恐れ、どうしてもこのような現象が起こります。 部分練習はこの場合、GからFの2つの音のみにします。Gをオクターブで弾いたらすぐにFまで手を素早くもっていってください。ただしFは弾かず、指は伴盤の上に置いた状態のみにします。これを何度か繰り返します。Fの上に指を置くとき、手は模索してたどり着いていないでしょうか? あるいは別の音の上に乗っかってしまわないでしょうか?何度か繰り返し、さっと手を右に移動したとき、Fの上にぴったりと乗ることを確認します。できるようになったら、Fの上に指を置いた状態で、伴盤を下に下ろします。これも何度か繰り返します。そうすることで、手はGからFまでの間隔を記憶します。 念のために、FからGに下りてくる逆ヴァージョンも行うとさらに良いでしょう。そして、FからGまで問題なく当たるようになったら、今度はFの力を抜き、「1つのモーション」で「一気に」2つの音を弾きます。以降出てくる全ての付点はこのように処理して下さい。 音楽的な見方: この曲は、9小節目で初めてC-mollの主和音が出てきます。ここがC-mollを強く認識する場所ですし、大変運命的な場所でもありますのでフォルテで処理します。さて、その9小節目にたどり着く前に、7-8小節間、16分音符に長7度の跳躍が2回ありますね。このような場合、急いで飛ばずに、時間を少し取って跳躍してください。ダイナミックは3段階に分かれ、7小節目1-2拍目、7小節目3-4拍目、8小節目にそれぞれなります。mf, f , ff など音楽が進むにつれてダイナミックを上げて下さい。 17小節目、メロディーラインのE㽇は本来E♭であるべきで、非常にショッキングな和音です。それなりの表現を試し見て下さい。 50小節目以降、メロディーラインには多くの非和声音や装飾的な音符がメロディーラインに入ってきます。これらの場所を決してオンタイム(メトロノームの通りに)弾かずに、十分時間を取ってください。 この曲は巷のレコーディングで、実に様々な演奏法をされる曲でもあります。筆者から皆様に、個人的助言をするのであれば、できる限りメトロノームから遠ざかり、ルバートを多く使い、十分に時間を取って欲しいと思います。例えば11小節目の左手のバスは、右手のメロディーラインがピークに達したときです。バスのCを弾いたら少し時間を取ってから次の音であるGをスタートさせると良いでしょう。メロディーラインのEsを音楽的に強く表現する目的の他、ペダルを濁らせずに変える目的も含んでいます。 その他、ショパンが音符を連符に書いていない場所、例えば29-31小節間の左手の最初の音は連符ではありませんね。そういう箇所は十分に時間を取ります。
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