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團 伊久磨 :ノヴェレッテ

Dan, Ikuma:Novelette

作品概要

楽曲ID:19641
作曲年:1983年 
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:性格小品
著作権:保護期間中

解説 (1)

総説 : 長井 進之介 (826文字)

更新日:2018年3月12日
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「ノヴェレッテ」とは「短編小説」を意味する性格小品であり、R.シューマンをはじめ、文学に造詣が深い作曲家が好んで使用した標題である。形式は自由で、一種の幻想曲と見なすこともできる。團伊久磨(1924-2001)も、多くのオペラや合唱曲、独唱曲を残し、さらにはエッセイストとしても活動するなど、文学に傾倒した作曲家であった。標題についてはシューマンからの影響があるが、音楽そのものについて影響は受けておらず、響きなどからはむしろドビュッシーなど、フランスの作曲家の影響が窺える。  團は声楽曲や管弦楽曲に器楽曲をはじめ、童謡や映画音楽と幅広いジャンルを手がけたが、ピアノ独奏の為に書いた作品は意外にも少なく、若い頃の習作を除くと「ピアノソナタ ハ調」(1947年)、「NHKラジオ放送第二」(1952年)、そして「3つのノヴェレッテ」の3曲のみであった。「3つのノヴェレッテ」は、作曲当時の團が室内楽作品や交響曲、管弦楽を伴う合唱曲と言った作品を手掛けていたこともあり、多様に変化していくダイナミクスや三段譜の使用など、ピアノ曲の枠を超えた劇的な響きへの志向を見出すことができる。また、第1曲の旋律や音型が第2曲と第3曲でも使用されるといった循環形式を思わせる書法や、初演を務めたピアニストの中村紘子(1944-)の輝かしい音色や華やかなピアニズムを存分に活かした高度な技巧も特徴である。  アレグロ・モデラートの第1曲は、全音階と半音階の交錯と多様なリズムパターンが融合した技巧的なパッセージで駆け巡る部分と、聖歌を思わせる荘重な旋律による和声的な部分を核とし、様々な楽想が自由に展開していく。アンダンテ・ソステヌート・エ・ミステリオーソの第2曲は歌謡性の強い、自由な3部形式。ペザンテで開始する第3曲は力強いオクターヴや和音を打ち鳴らすファンファーレ的な部分と、アレグロ・レッジェーロと指示された無窮動の技巧的な部分とが交錯し、ロンドの様相を呈する。

執筆者: 長井 進之介
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