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ラヴィーナ :亡き子よ、葬送詩 Op.70

Ravina, Jean Henri:L'Enfant perdu, poésie funèbre Op.70

作品概要

作曲年:1871年 
出版年:1871年 
初出版社:Paris, Alphonse Leduc
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:性格小品
総演奏時間:6分50秒

解説 (1)

執筆者 : 上田 泰史  (502文字)

更新日:2011年5月18日
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1848年5月、ラヴィーナはL. ビドーと結婚し、レオン(1852-1870)とエンマ(1853-?)の二子を設けた。このうち娘のエンマは1874年に出版者ルデュックと結婚することとなる。

普仏戦争が勃発した1870年、ラヴィーナは最愛の妻と息子レオンを相次いで失くすという不幸見舞われた。本作は若くして亡くなった息子への哀歌である。

曲はA-B-A’という単純な三部形式をとる。「悲痛に」と指示された陰鬱な序奏に続き、甘美な旋律が歌われる。中間部の劇的で情熱的なパッセージは長続きせず、やがて序奏の暗い楽想によって断ち切られる。主題が回帰するA’ は単なる主題再現ではない。Aではmfで「やさしさと悲しみ」をもって楽譜に指示されているが、A’ では全く同じ主題に対しpppで「少し遅く」「きわめて甘美に」という指示がつけられている。息子の死を受け入れ、その魂を済度し天上へと送り出すこの再現部にもはや地上的な「悲しみ」の混じる余地はない。しかし、曲の結尾部では再び感情が爆発し、ただちに序奏が回帰し、最後はこの曲の最低音まで下降して現実の悲しみに沈む。地上の絶望と天上的な平安を見事に描き出した名品である。

執筆者: 上田 泰史 

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