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ベートーヴェン :「ゴッド・セイヴ・ザ・キング」 による7つの変奏曲 WoO.78

Beethoven, Ludwig van:7 Variationen über "God save the King" WoO.78

作品概要

楽曲ID:1054
作曲年:1803年 
出版年:1804年 
初出版社:Bureau d'art et d'industrie
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:変奏曲
総演奏時間:8分40秒
著作権:パブリック・ドメイン
原曲・関連曲: 世界各地の国歌英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)《国王陛下万歳(神よ国王を守り給え)》

解説 (1)

執筆者 : 稲田 小絵子 (547文字)

更新日:2008年9月1日
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1803年にベートーヴェンは、イギリスの歌による変奏曲を2つ作曲した。そのひとつがこの《ゴッド・セイヴ・ザ・キング(神よ、王を助けたまえ)》による変奏曲である(もうひとつは、イギリスの作曲家の仮面劇を主題とした《ルール・ブリタニア》による変奏曲WoO 79)。

1803年、ベートーヴェンはイギリスのジョージ・トムソンと手紙のやり取りを始めた。トムソンはスコットランド人官吏でありながら楽譜商を営み、イギリス民謡を収集・出版した人物である。ベートーヴェンはその編曲や伴奏付けを依頼され、あまり知られていないが数多くの民謡編曲を残すことになった。実際に注文が始まったのは1806年からであるが、1803年のこの《ゴッド・セイヴ・ザ・キング》変奏曲および《ルール・ブリタニア》による変奏曲も、トムソンとの交流がきっかけになったのかもしれない。

「神よ、王を助けたまえ」という国王賛美の主題は、和音によって旋律が支えられる安定した書法で奏される。続く変奏は、ポリフォニックであったり、旋律が細分化されていたり、という変化に富んだものだが、どれも主題旋律が比較的しっかりと残っている。最後の第7変奏のコーダは、中間に6小節のヘ長調による主題回帰を挟み、最後はアレグロによる細かいパッセージで華やかに終わる。

執筆者: 稲田 小絵子