ドビュッシー :スケッチブックから
Debussy, Claude Achille:D'un cahier d'esquisses
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:展開1 展開2 展開3
総説 : 中塚 友理奈 (417文字)
1904年作曲。一貫して3段譜で書かれている。タイトルの通り、スケッチブックに書かれたアイディアを集めたかのごとく、多彩な表情を見せる1曲である。曲の冒頭には一連の荘重な和音が現れる。低音域が作り出す音響は暗く沈んだような雰囲気を醸し出すが、和音の音域は次第に高音域へと拡がる。低音域では左手が這うように動き、中音域では右手がメロディーとハーモニーを担う。その中で鳴らされるCのオクターヴは、さながら鐘のようである(16~21小節)。そして次第に高音域の、次いで低音域の音の厚みも増していく。そして静寂が訪れた後、再び音が重なり合っていく。ppやpppという静けさの中で、重厚な和音が色彩の変化を見せる。その後、低音を響かせながら一転して流動的な音の数々が鍵盤を駆け巡る。そして波打つ低音に和音を重ねながら、右手がメロディーを歌う。高音域で光り輝くような分散和音を放ち、メロディックな和声を奏でた後、変ニ長調の主和音で締めくくられる。
スケッチブックから
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