メトネル 1880-1951 Medtner, Nikolai Karlovich
解説:小崎 紘一 (748文字)
更新日:2010年1月1日
解説:小崎 紘一 (748文字)
「20世紀前半に活動したロシア人作曲家・ピアニスト」というメトネルの出自は、実際に彼の作品を耳にしたときにある種の違和をもって感じられる。
人類がふたつの世界大戦を体験した20世紀前半、それに呼応するように芸術においてもダダイズム、シュールレアリズムなど新しい概念が次々に持ち込まれた。西洋音楽に関しても第二ヴィーン楽派の登場など、調性と様式はその枠を外し、作品世界は拡張の一途にあった。
しかし、メトネルの作品から聴こえてくるのは伝統的とさえいえるイディオムで描かれたロマン派―――ドイツ、後期のロマン派―――直結の優美な響きである。「あれを音楽というのなら私は音楽家ではない」とは彼がプロコフィエフを指した発言だが、この言葉からも顕著なようにモダニズム、前衛という括りから逃れ続けたのがメトネルという作曲家であった(ただし、時代に逆行したという見解から読み解くのではなく、伝統的手法で現在を描き出そうとした点で独特の存在であったというべきであろう)。
十月革命が起こったロシアを離れたのが1921年。以後彼が祖国に戻ることはなく、全集出版のために婦人がソビエトに楽譜を持ち帰ったのは彼の没後数年を経てからのことになる。1925年、ストラヴィンスキー、プロコフィエフらのロシアンコミュニティーもあるパリに移住するが、フランス6人組に代表される第一次大戦終戦後の音楽界と彼の作品は相容れるものではなかった。彼がパトロンや理解者を得、最も評価されたのはイギリスにおいてであった。1936年に移住、同地で没した。
作品の殆どがピアノ曲である。性格的小品「おとぎ話」はその中でも代表的なシリーズ作。タイトルから連想される伝説やファンタジーはさほど楽想と連関がなく、寧ろ個人的な心象が透けて見えるようで興味深い。
作品(41)
ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ) (1)
協奏曲 (3)
ピアノ独奏曲 (5)
ソナタ (10)
曲集・小品集 (13)
性格小品 (11)
動画0
解説0
楽譜0
編曲0
動画0
解説0
楽譜0
編曲0
動画0
解説0
楽譜0
編曲0
動画0
解説0
楽譜0
編曲0