6つの小品からなる洒脱な曲集。曲調は全体に猫を音で描写したかのような作りになっている。けだるい3拍子（第一曲）、すばしこく浮遊するようなリズム(第二曲）、ppで奏でる調性感からどこかもで逸れていくような響き（第3曲）、7小節で駆け抜けるように終わってしまう曲(第4曲）、右手がイ長調、左手が変ホ長調で作られていて、どこまでも調子はずれなワルツ（第5曲）、点描的かと思えば突如クラスターによる和音がならされる楽曲（第6曲）などなど、遊び心に溢れている。描写的であるゆえに、中級以上の演奏者には楽しく挑戦できる現代作品であろう。

Australian Music Centre library が所蔵の手稿譜コピーが利用可能。