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ミゴー :一人の前奏曲

Migot, Georges:Prélude à un

作品概要

楽曲ID:92056
出版年:1932年 
初出版社:Alphonse Leduc
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:前奏曲
総演奏時間:4分00秒
著作権:保護期間中

解説 (1)

解説 : 西原 昌樹 (580文字)

更新日:2024年12月25日
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1931年8月、ヴィルム(アルザス地方)にて作曲。クラヴサン独奏またはピアノ独奏用。クラヴサン奏者、ポリーヌ・オーベールへの献呈。「二人の前奏曲」(2台クラヴサンまたはハープとピアノ)とセットで発表された。「一人」と「二人」は実質的には同じ曲で、デュエット仕立ての「二人」の両パートの要部をソロに簡潔にまとめたものが「一人」となる。6/8拍子、ミクソリディア旋法のト調で開始、ハ長調主和音で終止。古代旋法が一種の古拙の味を出す。

冒頭の「優雅で柔軟に」(Gracieux et souple)とその直後の「やさしく悲壮に」(Tendre et pathétique)の二つの大きな楽想を軸として自由に展開する。「一人」になく「二人」のみにあるメトロノーム数値は、作曲者が第一楽想の速度を少し下げて第二楽想に入ることを意図していることを示す。このあたりのテンポの細かい揺れは「二人」の譜面を参照しなければわからない。演奏にあたっては両版の比較検討が必須となろう。一陣の風が吹き渡るようなさり気なさは、被献呈者の主力レパートリーたるバロック期フランスのクラヴサニスト作品の淡麗なたたずまいとも通底する。ポリリズムを伴った立体的音響が特徴的な「二人」に比べると現代性が控えめとなる分、「一人」では訥々とした独特の語り口が前面に出、インティメイトな持ち味をきわだたせる。

執筆者: 西原 昌樹
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