マルグリット・ロンが晩年に発表した「ピアノ小教本」(La Petite Méthode de piano)にソーゲが書き下ろした小曲。4分の3拍子、アンダンティーノ・コン・マリンコニア、イ短調。シンコペーションのリズムパターンによる柔らかな左手に、けだるく少し眠そうに右手のメロディが乗る。レガート奏、カンタービレ奏を学び、子守歌の様式に親しむ。ブルグミュラーのレベル。ロンのこの教本は基礎的な手指の鍛錬を主体とするが、ソーゲのほかにも錚々たる作曲家たちが各々個性的な小品を提供していることに大きな特色がある。
モンポウ「つま先立ちで」、ミヨー「練習」、ダニエル=ルシュール「ヴァンドーム広場の鐘」、同「田園歌」、ジョリヴェ「カリブの踊り」、デュティユー「全ての道はローマに通ず」、オーリック「小行進曲」、フランセ「司令官と大尉のロックンロール」などはここが初出。2009年には教本から小品のみ(17作曲家の20作品)を取り出した曲集「マルグリットのアルバム」(Album de Marguerite)も出た。あらためて注目したい。