シューマン : 幻想曲集

Schumann, Robert : Fantasiestücke Op.73

作品概要

作曲年:1849年 

楽器編成:室内楽 
ジャンル:幻想曲
総演奏時間:10分00秒

解説 (1)

執筆者 : 齊藤 紀子 (1057文字)

更新日:2008年7月1日
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《アダージョとアレグロ 作品70》に着手する前、1849年2月11日から僅か3日間で作曲された。シューマンは、この曲が完成した翌日から、《アダージョとアレグロ 作品70》にとりかかっている。当初、クラリネットとピアノのために構想が練られたが、出版に際して、出版社がクラリネットの代わりにヴァイオリンもしくはチェロで演奏しても良いと記した。1850年1月14日に初演されたが、《アダージョとアレグロ 作品70》と同様に、それ以前に、非公開に初演されている。シューマン自身の家にて、クロートのクラリネットとクララ・シューマンのピアノで、1849年2月18日のことである。

3つの小品から構成されているが、各曲のテーマには関連性がみられる。

第1曲目 やさしく、表情豊かに イ短調 4分の4拍子

3部形式を基調として書かれている。この曲は、ピアノがクラリネット(ないしはヴァイオリンかチェロ)のメロディーを引き出すようにして始められる。このメロディーは、甘く語りかけるかのような趣がある。ちょうど同じ頃に作曲された《アダージョとアレグロ 作品70》のアダージョの部分のように、感情の起伏をそのまま表すかのような半音階的な音の進行が多用されている。どこか、シューマンの歌曲に通じるものが感じられる。

第2曲目 活き活きと、軽快に イ長調 4分の4拍子

コーダを伴う3部形式で書かれている。冒頭でクラリネット(ないしはヴァイオリンかチェロ)が提示する起伏に富んだメロディーが、この曲の全体を支配している。中間部では、このメロディーを覆うようにして、装飾がたくさん施される。そして、くっきりとした形で再びメロディーが提示された後は、「少しずつ静かに」と指示された、やや長めのコーダへと受け継がれていく。

この曲では、クラリネット(ないしはヴァイオリンかチェロ)とピアノが1曲目にも増して親密に言葉を交わす。

第3曲目 急速に、活気をもって 嬰ヘ短調 4分の4拍子

コーダを伴う3部形式で書かれている。冒頭に添えられた発想標語に示されている通り、活気に満ちた音楽が進められる。それは激しく、緊迫感さえみなぎっているように感じられる。この曲のテーマは、クラリネット(ないしはヴァイオリンかチェロ)による上行形の音階が特徴的である。中間部になると曲想が一転し、哀愁が漂う。この曲も、第2曲目と同様に、やや長めのコーダがあり、哀愁から一息に高揚してこの曲集が幕を閉じる。

なお、シューマンは、独奏ピアノのためにも《幻想小曲集 作品12》を作曲している。

執筆者: 齊藤 紀子

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