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レスピーギ :ピアノ・ソナタ  P 016 ヘ短調

Respighi, Ottorino:Piano Sonata f-moll P 016

作品概要

作曲年:1897年 
初出版社:Ricordi
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:14分00秒

解説 (1)

執筆者 : 小林 由希絵 (1425文字)

更新日:2018年3月12日
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イタリア近代を代表する作曲家オットリーノ・レスピーギが18歳の時の作品である。 18歳当時のレスピーギは、ボローニャ音楽院の学生であった。この作品を紐解くにあたって、レスピーギの音楽人生の原点である学生時代に迫ってみようと思う。 レスピーギは12歳の頃から、ボローニャ音楽院でフェデリコ・サルティのもとでヴァイオリンとヴィオラを学ぶ。次いで作曲科にも在籍し、ルイジ・トルキに音楽史を、ジュゼッペ・マルトゥッチに作曲を学んでいる。 ルイジ・トルキは古楽研究の大家であり、当時忘れ去られていた中世・ルネッサンスの美しい音楽に触れる機会をレスピーギに与えた。〈リュートのための古風な舞曲とアリア〉など、レスピーギの古楽に基づく一連の作品は、トルキとの出逢いをなくしてはなかったであろう。また、作曲を教えたマルトゥッチは、ボローニャ音楽院を学長まで勤め上げた人物で、これまでオペラ中心であったイタリア音楽から脱却し、器楽中心のイタリア音楽を再興していこうとする「イタリア器楽復興運動」の中心的人物であった。マルトゥッチのイタリア器楽復興の精神は、弟子のレスピーギにも受け継がれ、多くの優れた管弦楽作品や室内楽作品が生み出されることとなった。 ボローニャ音楽院で学んだトルキとマルトゥッチという2人の師が、のちのレスピーギの作曲家人生へ与えた影響は大変大きい。  次に曲の構成について詳しくみていこう。 この曲が作られたのは1897年の19世紀も末のこと。主題やリズム、転調などの曲の展開の仕方など、曲のあちらこちらにシューマンやショパンを思わせる風情が漂い、19世紀末とは言えどもロマン派の名残を感じさせる。作品は全3楽章から形成されている。 ■第1楽章 アレグロ ドラマチックな5小節の前奏から始まり、長いフレーズの流麗なメロディに引き継がれていく。ヘ短調で書かれているが、時折雲の隙間から光がこぼれてくるかのように、長調と短調との間を音楽が行来きし、響きの明暗のコントラストが実に素晴らしい。 ■第2楽章 レント 調性は第1楽章のへ短調の平行調の変イ長調で始まっているが、絶えず転調を繰り返し留まること無く音楽が流れていくさまは、よどみなく流れ続けていく清流のように美しい。 ■第3楽章 アレグロ 変ロ長調、8分の3拍子。メロディには躍動感があふれ、小気味良いスタッカートのオスティナートが急き立てるように音楽を押し進めていく。続く中間部は一転して、叙情的で歌うような美しいメロディが登場し、より音楽をドラマチックに表現している。  レスピーギは、この〈ピアノソナタ〉イ短調を作ることで、師であるマルトゥッチから多くの作曲技法を学んだ。ここで得た音楽的経験は、のちに1916〜17年にかけて作られたレスピーギの名作の一つと謳われる〈ヴァイオリンソナタ〉ロ短調でいかんなく発揮されることとなる。  なお、レスピーギは〈ローマ三部作〉や〈リュートのための古風な舞曲とアリア〉のような管弦楽曲や室内楽曲があまりにも有名なため、初期の作品を彩るピアノ曲にはこれまであまり光が当てられて来られず、出版されている楽譜も少なかった。 この曲の初版楽譜がイタリアのリコルディ社から出版されたのは、レスピーギ没後50年が経った1986年のことであった。自筆譜はレスピーギの妻であるエルサ夫人が没後25年に際して1961年に寄贈し、ボローニャ音楽文献博物館に所蔵されている。

執筆者: 小林 由希絵

楽章等 (3)

第1楽章

総演奏時間:6分00秒 

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第2楽章

総演奏時間:5分30秒 

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第3楽章

総演奏時間:2分30秒 

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