組曲《Even Be Hot ホットこともありえます》は、フォルテピアノ9種類によるベートーヴェン:クラヴィアソナタ全曲チクルス(京都文化博物館ホール)のために書かれ、430Hz=1/8PC調律のアントン・ヴァルター・モデルのフォルテピアノで大井浩明により委嘱初演された。《Even(より適切に言えば)Be Hot(いかした、正解に極めて近い)》等の楽章名は、ベートーヴェン(Beethoven)のアナグラムである。
「箸休め的な音楽を作るより、ベートーヴェンと同じベクトルで切り結ぶことを考えた」「自分はアカデミックな作曲法を知らない」「ベートーヴェンのような音楽をゼロから作ることは出来ない」「自分で考えるフレーズには限界がある」「自動的に不思議なフレーズを作りたい」「現代音楽っぽいものではなく、もっとポップにしたい」、という点を踏まえ、同公演でカップリングされていたベートーヴェン:Op.14(2曲)、Op.22、Op.49(2曲)のMIDIデータに大胆なカットアップ・コラージュを施し、7つの小品に整えた。『小道を散歩してたらいつの間にか既視感を感じつつ変な場所に出てきちゃった、みたいな感覚を味わって貰えれば嬉しいです』