この曲の演奏のヒントは主に2つです。1つは、左手の伴奏形のシェーピングの問題で、特に1~2小節間、メロディーラインがまだ始まらない時の左手は、平坦にならないように、2小節目の1拍目のFis D に向かうように、そしてそこから衰退するように弾きます。7~10小節間、左手の伴奏形のトップが、Cis D Dis E と半音階的進行で上行します。少しずつテンションを高めるようにします。9~10小節間は、今度は裏拍のFis Gis H A を意識するようにして下さい。動く声部は最も人の耳に届きやすい声部ですので、奏者側も意識するようにします。
もう1つはメロディーラインの話です。3小節目、1拍目と2拍目のメロディーには、Eが2つ並んでいます。これが、5小節目や11小節目(Gis2つ)にも同じ音が並ぶ分があります。この時、同じ音2つでも、後者(2拍目)の音をとても大切に扱うようにします。注意点としては、2拍目にアクセントを付けるのでは無く、かといって1拍目と同じように弾くわけでもなく、2拍目は、もう言われなければ判らないほど少しだけ躊躇して打伴をするように弾きます。大切なものとして丁寧に弾くように心がけます。