色々な考え方が出来るアルマンドです。少なくとも前半は、アルマンドらしくゆっくり優美に流れるセクションで、これは問題ではありません。
問題は後半にあります。15小節目からの上行形シークエンスを辿っていくと、17小節目でストップするものの、そこから今度は19小節目で、このアルマンドの最高音Cに達します。そして、22小節目の右手3度の上行形、23小節目、32分音符が入ってくる上行形などを見ますと、かなりテンションは高くなるように感じてしまい、結果フォルテの音量で、圧迫感のあるアルマンドになってしまいがちです。しかしそれはそれで1つの考え方として間違ってはいません。
ここからは筆者の独断的な考え方になりますがご参考まで。筆者にとってのC-durという調は、他のC-durの作品を思い浮かべたとき、決して圧迫する調ではないと考えます。「スケールが大きい」のと「圧迫感がある」のは異なったことであり、バッハのC-durはスケール感の大きなC-durもありますが、調そのものが純真無垢であり、決して圧迫感のある調ではないと考えます。故に、19小節目でCに達してもそこまで音量は上げません。24小節目も同じです。シークエンスですので上行するときは、ダイナミックが平坦にならないようにしなければなりませんが、C-durという調を鑑みたときと、アルマンドであることを鑑みたとき、そこまで音量は上げません。