このサラバンドを演奏するにあたり、3つの助言をします。1つ目はソプラノの音質を際立たせること。他の声部とは異ならせて、きらびやかな音で演奏をしてください。2つ目はリピートの際の助言ですが、リピートしたときは、必ず1回目の演奏と2回目の演奏を異ならせるようにします。全く同じに弾かないようにします。2回目は、ある「数小節」の内声を際立たせることで違いを付けても良いので、とにかく、何らかを変えます。
多くの装飾音を2回目に入れている音源もありますが、それも1つの方法だと思います。あまり余計な音を入れすぎてもどうかとも思いますが、トリルや、和音を分散させるなどの範囲であれば良いと思います。
3つ目は方向性の問題です。このサラバンドにはピークを迎えるポイントが2カ所あります。1カ所目は1小節目の1拍目のAの音で、ここを大きく出し、前半は6小節目のソプラノFで少し音量は上がるものの、基本的には1小節目から8小節目まで衰退してきます。
もう一つのピークは、11小節目のソプラノHの音で、この小節(あるいはこの音を)、このサラバンドの中で最も大きくしてテンションを上げてみてください。もちろんリストやラフマニノフのようなフォルテではありませんが、明らかにそこがピークと感じられる奏法を、音量のみならず、タイミング等でも工夫してみてください。