軽快なテンポとともに進む、「楽しい」フーガと考えて良いでしょう。しかしながら「わくわくするような気持ち」の曲ともまた異なります。「充実感のある大人の楽しさ」とでも言いましょうか。少なくとも深刻な面は感じられません。
このフーガを弾くにあたって重要なのはアーティキュレーションです。基本的には8分音符をスタッカートで弾いた方が良いと思います。例えば7~8小節間の右手、上声部で、8分音符+4分音符+8分音符で2拍分のリズムが書かれていますが、この8分音符をはっきりした短いスタッカートにして、4分音符を次の8分音符まで切らないで繋げて、また次の8分音符で切るという、はっきりしたアーティキュレーションは、曲を楽しくし、声部を独立させます。
故に、11小節目のように、右手の下声部に4分音符が4つ書かれていますが、これはレガートで繋ぎ、上声部は先ほどのアーティキュレーションで、8分音符を短く切ります。
13小節目のような、バスの声部がテーマを弾くとき、1~2拍間のバスはスタッカートですので、テノールに伸びている音符が来ようとも、それとは関係無く、8分音符をスタッカートにして、声部の独立するようにしてください。