「悲しげに」、ニ短調、2分の２拍子。「チロは、あなたの可愛がっていた子犬の名前でしょうか。それとも・・・。」と作曲者は「チロ」を特定していません。葬送の曲は、ピアノ曲に限らず様々な作曲家の作品があります。だいぶ規模は違いますが、葬送というと、まずショパンのピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調「葬送」 第3楽章がまず思い浮かびます。小さな曲では、チャイコフスキー《子供のためのアルバム》より「人形のお葬式」（ハ短調）などがあります。この「チロのお葬式」も同様に2拍子系で、悲しみに満ちた葬送の行進です。11小節目からは、チロとの想い出を回想するかのような右手の歌を美しく、想いを込めて弾きましょう。16小節のmfでは、チロが帰ってきて欲しいと切に願うような強い気持ちが、テヌートスタッカートの和音一つ一つに込められます。しかし、続く２小節で下行音形が繰り返され、叶わぬ想いに悲嘆に暮れるような気持ちを表現しているようです。19小節目からは、冒頭のテーマが再現されますが、左手は今度は1オクターブ下がり、4分音符4つの行進のリズムになります。一層暗く、打ちひしがれた気持ちを乗せて、登場人物に共感を持って演奏してください。