左手が菜の花の揺れを表現しています。最初のフレーズの山は、右手の3小節目3拍目になりますが、そこでmpだった強弱がpに変化していることが特徴的です。大切な音を敢えてpにすることで、とても大切に弾きたくなりますね。また、最初のフレーズは2小節目に少し重さを感じるとまとまると思います。9小節目からは、動いているテヌートの音も大切ですが、左手の2拍目が「ラ」の音で保続されることに注目しましょう。上行するテヌートの音を成長させながら、動かない「ラ」の音の長さ、重さ、質を揃えることに集中することで、自ずと演奏に緊張感が生まれると思います。そうして、12小節に辿り着いた時の開放感は、菜の花畑に気持ち良い風が吹き込んでくるようです。17小節目の2かっこからは、スラーの切れ目が左右ずれていて難しいのですが、その切れ目と休符やテヌートを正確に演奏するために再度、大きな集中力が必要です。そして辿り着いた23小節目のfからはこの曲のクライマックス。存分に時間をとって深呼吸するように演奏したいですね。書法による緊張と緩和をイマジネーションに変換して楽しく演奏してください。