「シリウスの伴星によせる op.1」(1974)へのノート。
この曲は、おおいぬ座の主星シリウスと、その横にある肉眼では見えない小さな〈伴星〉によせて、ピアノによる「シリウスの伴星によせる」op.1とオーケストラによる「シリウス賛歌」op.2という姉妹作品として、1974年21歳の時に作曲されたもの。私にとっては、その後、プレイアデスやオリオンへと続く〈星のシリーズ〉の記念すべき第一作にあたる。
ただし、両曲とも70年代に書かれた私の初期の作品たちと同じく全く演奏される機会を持たず、この曲も作曲仲間の私邸における私的発表会での(アップライト・ピアノによる)自作自演をしたくらいで、正式な初演は行っていない。まだ、調性による語法を確立する前の、アトナール(無調)とモード(旋法)とトナール(調性)の3つの引力圏で揺れる星の煌めきをイメージした8分ほどの小品である。(2005.02.24 吉松隆)