三善 晃 :海の日記帳 手折られた潮騒
Miyoshi, Akira:Umi no Nikkicho Sound of The Sea Picked Up
演奏のヒント : 大井 和郎 (665文字)
この曲は、目まぐるしく調が変化していきます。そこで求められるのはセクション毎の音質の変化です。カラーパレットを用意して、多くの音色で試してみましょう。加えてこの曲は即興性が必要とされる曲だと筆者は感じます。もちろんこれはメトロノームのように、速度を変えずにきっちりと演奏する方もいるとは思いますし、それは否定しませんが、ある種の即興性を取り入れ、自由に弾くことで、曲の魅力が更に増します。
例えば、冒頭、1小節目が最も速度が速く、それが徐々にテンポを緩めていき6~9小節間に達するように衰退していく奏法です。10小節目で再びテンポを元に戻し、17~19小節間に向かって再び衰退していきます。
そうしたとき、例えばですが、8小節目左手のGと9小節目のGでは音量に差があって良いと思います。同じように弾かずに、9小節目のGを、消えるように弾いて下さい。ソフトペダルを用いても良いかもしれません。18~19小節間も同様です。
Bセクションでは、20小節目、gis-mollから主題が始まり、聴き手は、22小節目を、2小節目や、12小節目のようなパターンに行くことを期待していますが、期待に反して、22~23小節目は大変ショッキングな変化です。ここはソフトペダルを用いて瞬間的に音色を変えると良いでしょう。25小節目の強引な転調でテンションは上がり、36小節目でAセクションに戻りますが、25~36小節間は、曲中で最もテンションの上がるところとして良いです。
最後57小節目でまたも強引にc-mollに戻りますが、ここでも音色を変えてみましょう。
海の日記帳 手折られた潮騒
【2023ピティナコンペ課題曲 C級】手折られた潮騒
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