この第1楽章を演奏するにあたり、主に考えることは2つあります。1つは、オーケストレーションで、そのセクションは、極端に言うとtuttiかsoloのどちらか?と考えます。
例えば、冒頭8小節目1拍目までをtuttiと考えます。そして8小節目2拍目から10小節目3拍目までをsoloと考えます。今の例は大変わかりやすい例ですが、中にはどちらだか解らないセクションもあります。しかしそれはあまり気にせずに分けて下さい。何故分けるかというと、そこで強弱の差が出せるからです。
第1楽章全体がどこかのピークポイントを目指して進むような曲でもありません。多くの同じテーマが色々な調で繰り返されるだけですので、強弱が平坦になりがちで、それを避けるためです。
もう1つは調性にあります。この第1楽章の中で切れ目の良いところ、つまりはカデンツ(終止)の部分で、新たな調でスタートする部分を見つけます。
例えば27小節目、恐らくソロであろうセクションは、fisからテーマが始まります。このセクションはh-mollで40小節目までh-mollが続きます。このh-mollのセクションの中でも大きい、小さい、という強弱の差はあるわけですが、冒頭のD-durと比べてどのようなキャラクターの違いを感じるかという話になります。
奏者は、新たな調が来たら、それに合うと思われる(これは自身で判断して構わない)音量、音質、音色を使い分けて下さい。音楽がとてもわかりやすくなります。全ての調を同じように弾かないようにします。