平吉 毅州 : 子どものためのピアノ曲集《虹のリズム》 みつけられたいたずら
Hirayosi, Takekuni : Rainbow Rhythm The Mischief That Was Found Out
作品概要
解説 (1)
演奏のヒント : 杉浦 菜々子
(717 文字)
更新日:2025年10月23日
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演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (717 文字)
冒頭2小節のスタッカートによる下降音型mfは、「おっとっと」とツンのめるような動きで、思わず表情が動くような面白さがあります。いたずらの場面が始まったことを告げるような、軽快な入り方です。続く3〜4小節はmpでひそやかに、悪戯をした手前、気配を消してどこかに隠れているのかもしれませんね。音量の変化やタッチの違いを明確にしながら、この対比を生き生きと描き分けると、短い中にも場面転換の妙が際立ちます。
9小節目からの2かっこでは、同じ動機が再び登場し、4小節にわたってfのアクセントへと一気に駆け上がっていきます。テンポやエネルギーが滞らないように、ためらわずに弾き切ることが大切です。
16小節アウフタクトからは、冒頭のいたずらのモチーフが再び現れ、それを左手のリズミカルでどこか滑稽な音型が受け止めるようにして対話が始まります。左右の掛け合いを意識しながら、それぞれの動きに役割を持たせると、場面の立体感が出てきます。19小節で現れる全音音階は、突然風景が変わるような不思議さがあり、ペダルを用いてしっかりと響かせることで、幻想的な広がりを感じさせることができます。
29小節からは、モチーフの「レ」の音が2小節にわたって先取され、気づけば31小節で元のモチーフに入り込んでいます。この自然な移行が、再び始まるいたずらをうまく暗示しているようにも思えます。あからさまにならず、さりげなく進むこの部分は、音の流れを丁寧に扱うことで、曲全体の語りのなかで一層効果的に響きます。いたずらの始まりから展開、そしてまた繰り返される様子を想像しながら、それぞれの場面に動きと表情を与えていくと、この作品のユーモアや軽やかさが自然と引き立つでしょう。
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